2015年は戦後70年の節目でもある。増税再々延期という選択肢を断ったアベノミクスはまさに正念場を迎える。集団的自衛権ではいよいよ関連法の改正が行われ、具体的な姿が浮かび上がってくるはずだ。わが国のエネルギー構成をどうするかも決めなければならない。安倍・習会談で関係改善の糸口をつかんだ日中関係はどうなるのか。世界情勢を見れば、原油価格の暴落が暗い影を投げかけている。

平和でやさしいイメージの未(羊)年とは打って変わって、課題山積。そこで著名な経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、新年を予想する上で、キーとなる5つのポイントを挙げてもらった。連載第9回は、熊野英生・第一生命経済研究所経済調査部 首席エコノミストが掲げるポイントを紹介しよう。

米利上げに原油安、不安と期待が交錯する世界経済<br />――熊野英生・第一生命経済研究所<br />経済調査部 首席エコノミストくまの・ひでお
第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

(1)米利上げ

 年央あたりで、FRBは10年ぶりの利上げに踏み切るだろう。現時点では、どのくらいまで金利水準を引き上げて正常化とみなすのかは不確定である。過去5年間の過剰流動性が引き締められる。その反動がどのようなかたちで表れるかはまだしっかりと予想できないところが、ポイントとする理由。

 今回の利上げに至るステップは、2004年6月のFRBの利上げにそっくり。もしも、同じスケジュールでことが運ぶのならば、利上げは2015年6月となるだろう。年央が要注意である。これまで通貨の乱高下は、2013年5月、2014年1月、2014年12月と数ヵ月おきに起こっている。だから注意しなくてはいけない。