チキンナゲットやデザートなどにビニール片、プラスチック片、人の歯が混入していた日本マクドナルド、即席麺「ペヤング」にゴキブリらしき昆虫が混入していたまるか食品、同じく離乳食にコオロギらしき昆虫が混入していた和光堂など、食品への「異物混入」報道が相次いでいる。異物が混入した食べ物の画像がネット上にアップされたケースもあり、騒動は瞬く間に拡散した。異物混入が発覚した企業は、イメージダウンを免れない。なぜ、食品に異物が混入してしまうのか。それを防ぐ手立てはないのか。食品問題評論家で消費者問題研究所代表の垣田達哉氏に、騒動の背景と企業が求められる発想転換について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)
昆虫から資材まで異物混入は様々
企業が100%防げるものではない
消費者問題研究所代表、食品問題評論家。1953年生まれ。岐阜県出身。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品表示アドバイザーとして『選ぶならこっち~食べて安心な食品の見分け方~』など著書多数
―― 一連の報道で、世の中の食べ物には実に多くの異物が混入していることに驚かされました。そもそも食品に混入する異物には、どんなものが多いのでしょうか。また、企業はなぜ消費者に提供する前に、異物混入を防げないのでしょうか。
食品に混入する異物の傾向などは、東京都をはじめ各自治体のHPなどで確認することができます。異物混入で最も多いのは、やはり昆虫。虫は大きいものから小さいものまで世界中にいるし、縦横無尽に飛び回るし、いつどこで食品に混入してもおかしくない。
たとえば、材料の段階でつく場合、ファーストフード店などの店舗で調理中に入る場合、さらにお客がテイクアウトした後に家で入る場合だってある。ぺヤングに入っていたゴキブリくらい大きな虫ならまだしも、小さい虫まで企業の現場が混入を防止することは、大変難しいのが現状です。
――昆虫ばかりでなく、資材の一部が混入しているケースも多く見られますね。これらは昆虫とは違い、そもそも企業の現場で使われているものです。それでも、防止は難しいのでしょうか。
資材関係の異物混入で多いパターンは、工場の従業員の手袋の切れ端といった素材類、ベルトコンベアが破損した一部といった機械類の2つです。確かにこれらは、「この機械の一部が破損している」「従業員の服が破れていた」など、現場の人間が目で見て気づくものが多いため、その行方を調べればある程度は食品への混入を防ぐことができます。
ただ、青森県三沢市のマクドナルドの店舗で、チキンマックナゲットに混入していた青いビニール片は、結局どこで何が混入したのか、調べてもわかりませんでした。こうしたケースもあるため、異物混入は100%防げるものではありません。