人事部門のメンバーに一体感がない。これはなにも人事部門に限ったことではなく、企業の大小を問わず、また職種を問わず、よく聞かれる悩みです。会社は学校ではありませんので、変に仲良くすることはありませんが、同じ目標に向かって利害を共有するチームに一体感がないというのは、目標達成のためにはうまくありません。曽山さんの回答は、自らの実践をふまえた、効果的な手法の紹介です。
【質問】
曽山さん、こんにちは。このたび人事に異動となりました。私も曽山さんと同じように営業部門から人事に部長として異動したのですが、人事メンバーのお互いの協力姿勢が低く、仲がよくありません。現在人事メンバーは5名で、労務総務で2名、採用で3名いますがそれぞれが忙しく、情報交換や協力姿勢を持つ余裕がありません。なんとか協力して強いチームをつくりたいのですが、どのようにすると良いでしょうか。
(東京都 W.A)
多忙な部員たちが協力関係を築くために
ご質問ありがとうございます。まさに私も同じような経験をしました。
本当に大変ですよね。私が人事に異動してきたときも、個々に仕事はとても頑張ってくれていましたが、本当に忙しそうでした。
相談にのってあげたくても、そもそも時間がないので面談の時間すらとるのが難しそうという雰囲気だったのです。
また、それぞれはとても良い人なのに、業務中は協力する姿勢も出てこず、それぞれがとても必死に働いているような状況でした。
それをふまえて、試行錯誤しながら効果があったことをご紹介します。
・困っていることを全員で吐き出す
・定期的にお互いの業務を共有する
・全員で同じ本を読む
この3つが効果がありました。
順に説明しましょう。
・困っていることを全員で吐き出す
まずやったことは人事メンバーとの個別面談です。
どんな仕事をしていて、どんなやりがいや苦労があるのか。
形式はカジュアルに座席で聞いたり、個室に入って話をしたり。ひとり20分から長いときには1時間くらい、話をまずは聞く、というスタンスをとりました。
そこでもたくさんの課題や「こうしたい」という意欲が伝わってきたのですが、痛感したのは「どこに向かおうとしているのかが理解できていない」ということでした。
作業をやることにとにかく集中していて、ひとつひとつのタスクを処理することに頭が集中していたのです。
しかもいろいろ聞いていて一番困ったのは、メンバー同士が意図せずに他の人に責任をなすりつつける「他責」になっていたことです。
「事業部門の人たちが忙しいのに協力してくれない」「何かお願いしても断られる」など、自分の問題ではないという思考パターンに入っていました。
いろいろ悩んだ結果、私は「問題を人事全員で共有するしかない」と考えました。