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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

ロケットを3回爆発させても
経営理念をあきらめない強さを学べ

――「MITスマーテストカンパニー50」を見て思うこと

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第9回】 2015年2月19日
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プログラミング教育が
大学からでは遅すぎる

 そして、日本のテクノロジー企業に決定的に欠けているのは「ソフトウェアの力」です。今、世の中に流行っている製品・サービスにはすべてソフトウェアが関わっています。前述したウーバーも、ソフトウェアの力があったからこそ、ビジネス化に成功したのです。

 これは何度か指摘していますが、プログラミングの教育が大学からでは遅すぎます。インターナショナルスクールに通う私の4歳の娘は、すでにiPadのアプリでロボットをプログラミングする授業を受けています。

 これは、スーパープログラマーを目指せ、IT大国になれと言っているわけではありません。これからのビジネスには、基本的な教養としてプログラミングの知識が不可欠ということ。プログラミングの基本知識、発想を身につけていれば、文系でも斬新なビジネスモデルを生み出すことができるのです。

日本の若い企業よ、
どんどん失敗しよう!

 もう1つ、アイデアを実行できるかどうかも大きな課題といえます。日本の経営会議は「ダメ出し」から入るケースが非常に多い。新規案件に対していくつもの課題が出され、結局、大変そうだからやめようかという結論になりがちです。

 これっておかしくありませんか。新しい挑戦、難しい課題を1つひとつこなして、最終的にモノにするのが本来のビジネスの姿なのです。

 「壁があるから前に進むのはやめよう」的思考では、破壊的なイノベーションは起こせません。失敗を恐れていては何も始まらないのです。

 前述したイーロン・マスク氏を見てください。彼は自前のロケットを3回も爆発させ、世界中から非難を浴びても、あきらめず課題解決に取り組み、成功をつかみとりました。

 前回も書きましたが、イノベーションを起こすには、早く失敗することで、チャレンジをもっと増やして経験やノウハウを積んでいく「フェイルファースト(早く失敗しよう!)」の発想が必要です。

 無責任かもしれませんが、あえて言います。「日本企業の皆さん、どんどん失敗してください!」。

(構成/河合起季)

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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