環境省主導の法制化をめぐり、一悶着ありそうな雲行きだ。2月6日、閣議後に望月義夫環境相は「地球温暖化対策推進法(温暖化対策法)」の一部改正を目指す意欲を示したが、肝心の法案提出の時期や成立のめどに関する明言は避けた。
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実は、環境省は今通常国会での法案審議入りを狙っており、温暖化対策法を滑り込ませる最終期限が6日の閣議だった。結果として、温暖化対策法は、環境省の「提出予定法案」3本には含まれず、「検討中の法案」という中ぶらりんの位置付けにとどまった。
環境省の独走を阻んだのは、霞が関の力学である。実際に、ある主要省庁幹部は、「各省と連携を取り、法案提出が見送られるよう官邸に働き掛けた」と打ち明ける。
どういうことか。
政府は、今夏、温暖化進行に伴う影響を予測し、それを軽減するための「適応計画」を策定することになっている。環境省は、現行の温暖化対策法を改正することで、政府のお墨付きを得た「適応計画」の法制化を狙っているのだ。
適応計画のたたき台となるのが、環境省の審議会がまとめた「日本における気候変動による影響に関する評価報告書」だ。「農業・林業・水産業」「自然災害・沿岸域」「健康」「産業・経済活動」など7分野について、文献や専門家による議論を基に、将来予測される気候変動リスクについて記されており、A4判用紙433ページに至る。
だが、影響が広範に及ぶだけに、各分野において、省庁間で衝突が起こることが予想されている。