早くも、戦いの火ぶたが切って落とされた。1月28日から始まった「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合。毎年東京で開催されており、米国、EU、中国など約30カ国の温暖化対策交渉の実務担当者が集う。形式的には、今後の温暖化対策交渉の進め方について自由に意見交換することを目的としている。

昨年末にペルーで開催されたCOP20では、各国が歩み寄ることなく、交渉は不調に終わった
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 しかし、今回の位置付けは例年とは違う。年末にパリで開催される第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)の事実上の前哨戦となるからだ。

 意見交換などという生易しいものではなく、「国際交渉をいかに自国に有利に進めるか、腹の探り合いをする場」(経済産業省幹部)。来日した各国担当者の表情には緊張感が漂っているという。

 それもそのはずだ。COP21では、先進国のみに温暖化ガスの排出削減を義務付けた京都議定書(1997年採択)に代わり、全ての国が参加する「新たな枠組み」を決めることになっている。

 この枠組みこそ、将来の地球環境を左右するものであり、各国の産業構造やエネルギー政策を決定付けるものでもある。

 もっとも、“パリ合意”が難航することは、火を見るよりも明らかだ。温暖化ガスの削減目標をめぐっては、枠組みに途上国を巻き込みたい「先進国」と、温暖化の責任を先進国に押し付けたい「途上国」との意見対立が続いている。昨年末にペルーで開かれた第20回締約国会議(COP20)でも交渉は消化不良に終わった。