消費動向を探る指針の1つとして、住宅市場のトレンドは重要だ。消費としての規模が大きく、投機的価値も併せ持つことから、景気の先行指標として慎重に吟味されることが多い。今回の大不況により、ミニバブルに沸いた3~4年前からは想像もつかないほど下落した住宅市場。昨今では、景気底打ち感が強まるにつれ、住宅市場の「持ち直し」が囁かれている。今こそがマイホームの買い時なのか、それともまだ底値があるのか――。これまで、「少しでも安く家を買おう」と家探しを控えてきた世帯にとって、「決断のとき」が迫っている。果たしてその実態やいかに? 巷で得られる様々なデータや関係者の声を基に、住宅市場のトレンドを徹底検証してみよう。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)
「早くこんな新築マンションに住みたい!」住宅価格の底打ち報道に背中を押され、マンションのモデルルームに足を運ぶ人が増えている。「住宅版エコポイント」の追い風で、業績の上方修正を行なう住宅メーカーも。 |
「新築マンションを下見に訪れる家族客は、ここ数ヵ月で徐々に増えています。昨年と比べて2~3割も物件価格が下落したこと、景気の底打ち感に伴い『住宅価格がいよいよ底を打った』という見方が広まり始めたことなどの理由により、これまで買い控えをしていたお客が動き始めたようです」
こう語るのは、首都圏を中心に幅広く事業を展開する大手マンションディベロッパーの営業マンである。
「少しでも安くマイホームを買おう」と狙っていた家族世帯にとって、まさに「決断のとき」が迫っている。巷で言われているように、本当に住宅価格が底打ちし、上昇に転じ始めているのなら、一刻も早く買わないとこれまで「模様眺め」を続けていたガマンが水の泡になってしまうからだ。
ただし、「住宅市場の持ち直し」の時期については、いまだ市場に賛否両論がある。マイホームを探す家族世帯は、いったい何を参考にしたらよいのだろうか? 巷で得られる様々なデータや関係者の分析を基に、住宅市場の最新トレンドを徹底検証してみよう。
まず、サブプライム問題の震源地となり、先進国における住宅価格急落の口火を切った米国の状況はどうだろうか?
今月初頭にロイターが報じた米国の市況報告では、消費は依然、緩やかに改善の兆しを見せており、「特に住宅市場は底入れしつつある」と明言された。