さらに、選挙期間が5日の町村の選挙では公費負担はゼロなっている。わずか2日間の違いで、これほどの差を設ける理由がどうしてもわからない。

情報開示請求で実際に調べてみた
都議選の港区選挙区に見る「疑惑」

 それでは、公営選挙の活用実態の一端を紹介しよう。東京都選挙管理委員会に情報開示請求を行い、3月20日に公文書の開示を受けた。請求したのは、「2013年6月実施の都議選における候補者のポスター作成経費公費負担請求の内訳書」だ。港区及び杉並区選挙区の候補者に絞って請求した(全候補240人分を請求すると1枚30円のコピー代がかさむので限定しただけで、他意はない)。

 都議選の港区選挙区の場合、ポスター掲示場数は299なので、請求枚数の上限は598となる。5人の候補者のうち、なんと3人が上限数分を請求し、1人が590枚分、残りの1人が350枚分だった。杉並区選挙区(ポスター掲示場524)では、候補者10人のうち4人が上限数の1048枚分を請求し、1000枚分が2人、残りの4人が600枚分から850枚分となっている。繰り返しの指摘となるが、両区の区議選での上限枚数はこれらの半分となっている。

 果たして、これだけのポスター代を公費負担する必要性があるだろうか。そして、本当にこれだけの枚数のポスターを作成し、短い選挙期間中にきちんと活用しているのだろうか。

 そうした疑問は、国政選挙においても同様だ。

 実は、選挙公営を悪用して税金をかすめ盗るような行為が横行しているのが、実態である。なかでも、ポスター代の水増し請求が当たり前のように行われている。限度額目いっぱいまで請求し、実際にかかったポスター代との差額を業者にキックバックさせたり、差額分で公費対象外のものをこっそり印刷させるのである。もちろん、業者と結託しての悪事である。

 水増しの手口は2種類ある。1つは枚数の水増しだ。そしてもう1つは、作成単価の水増しである。こんな実話をある市議から聞いた。

 一昨年の市議選に初めて立候補したAさんは、選挙ポスターの作成を同級生の印刷業者に依頼したところ、「上限額まで市に請求し、差額分で(公費対象外の)名刺やチラシなどもつくってやるよ。みんなやっていることだから」と持ちかけられたという。思わぬ話に驚いたそのAさんは、「議員になる前からそんなことをしたら、何1つ正義を言えなくなる」と考え、同級生の申し出を丁重に断ることにした。