

プラットフォームとは、自社が提供するモノやサービスの上で他者にビジネスをしてもらう仕組みである。他者のビジネスに貢献する基盤を司るといってもよい。これは製造業やICT領域に限ったことではよい。保険制度や小売、物流、医療など、多様なビジネス領域も含めて十分可能である。
日本より人口が多く成長が見込めるアジアに向けてビジネスを展開していくには、プラットフォームを構築する際に「ネットワークの外部性」に着目した現地サイドへのアプローチが必要になる。ICT領域におけるネットワークの外部性とは、利用者数や利用頻度などがその製品・サービスの利用によって得られる効用や利用価値に影響を与えることをいう。つまり、どれだけの利用者や利用頻度を期待できるかにフォーカスしたプラットフォームを用意しなければならない。
近年、日本でもプラットフォームの重要性が喧伝されるようになってきた。だが欧米のプロフェッショナルたちは、20年近く前からプラットフォームの必要性・重要性を説き、見事に実現している。どんな働きの、どんな機能の、どんなサービスを提供し、その上に他社のビジネスを成立させるか――自社ですべてをまかなおうとする(内製を好む)日本企業はプラットフォームを抑えることの重要性に気づくのが遅かったようである。
グローバル企業は連鎖的に発展しない単一、単発で終わるようなビジネスは眼中にない。プラットフォームを強く意識した事業展開を視野に入れている。そうしてグローバル戦略を練り、日々更新しているのだ。
外資系企業に限らず、グローバル基準でオペレーションしている日本企業は、新しい事業に対する許容性や意思決定スピードが速い。例えば、ICT領域ではこの8年でデータセンターに大量集積されたリソースを活用するクラウドコンピューティングの登場によって、世紀の大変革が起こっている。
グローバル企業は何年も前から、クラウドコンピューティングに対する取り組みの早さや親和性に注目し、自社に使えるのか、それとも脅威となるかを実際に利用しながら見極めてきた。片や日本企業は検討に入ってまだほんの2~3年。キャッチアップすら困難な状況だ。