一方、B社長にとっては、秘書に対して、いつも「いい上司」でありたいという気持ち の表れが、このような行動へと駆り立てているのかもしれません。その真相は、B社長に聞いてみないとわかりません。ただ、残念なことに、秘書にとっては、「いい上司」と映らない可能性が大きいのは間違いないでしょう。

 これは、なにも「社長」と「社長秘書」の間の関係性に限ったことではありません。「上司」と「部下」というすべての関係性においても、起こることです。皆さんの周りでも、このような部下の声を聞いたことはありませんか? 

「いい上司」とは、部下に「いい顔をする上司」を指すわけではないのです。

部下を怒らない上司は
必ずしもいい上司ではない

 ここで、部下たちの見解を聞いてみましょう。

 部下の方たちに、「いい上司とは、どんな人ですか?」と尋ねてみました。すると、真っ先に出てきたのが「怒らない上司」という答えでした。つまり、細々と苦言を呈したり、注意をしたりしない上司のことです。

 最近、職場でのパワーハラスメントが社会問題となり、上司は、部下への一言に気をつけようとするあまり、言いたいことも伝えられないと嘆く人が増えています。

 たとえば、以前、ある会社で役職についている方からこんな相談をうけたことがあります。

 その会社では、毎年12月2週目の金曜日に、忘年会が開催されていました。何十年も続く恒例の忘年会。上司が若手社員に忘年会開催のお知らせの案内をメールで送ると、「忘年会の目的は、何ですか?」「忘年会に参加しないといけない理由を教えてください」という返信があったそうです。

 その上司の方は、「この時は、さすがにまいりました。忘年会は、みんなでワイワイと楽しみ、お互いをねぎらう場だと思っていたので。忘年会の目的は、その年の慰労を目的として執り行う宴会です、と伝えてもねぇ…」と、若手社員の機嫌を損ねると仕事がしづらくなりそうなので、どうしようか迷っている様子でした。

 このように、忘年会の例1つをとっても、どう伝えればいいのか悩んでしまい、上司のほうが部下に過敏に反応してしまうケースがあります。部下との距離は、過剰に近くなるのもよくないですし、疎遠になりすぎるのもよくない、その「さじ加減」が、上司の腕の見せ所と言ってもいいでしょう。