発売直後から売れ行き好調の『プレゼンは「目線」で決まる』の著者である西脇資哲氏は、日本マイクロソフトのエバンジェリストおよびプレゼン講師として、年間250日におよぶ講演・セミナーを行っている。そこで教えられている「実証済み」メソッドの数々を紹介していく。
7割の時間は「聞き手」のほうを見なくていい
前回、前々回とプレゼン中のアクションについて解説していますが、ここで『プレゼンは「目線」で決まる』の主題でもある目の動きにも触れておきましょう。
といっても、ここでお話しするのは、聞き手の目線ではなく、プレゼンター自身の目線をどのようにコントロールするかということです。
よくプレゼンの解説本には「観客のほうを見るようにしましょう」などと書かれていますが、聞き手のほうをずっと見ながら話すのはかなり難しい。かなりの熟練が必要です。
むしろ私の経験では、要所要所で聞き手のほうを見るだけで十分です。
最終的にはほとんどの時間を聞き手のほうを見ながらできるといいのですが、まずは、全プレゼン時間の3割程度は聞き手のほうを見ている状態を目標にしてください。
たった3割と考えてみてください。7割は聞き手に目を向けなくていいのです。
聞き手に目を向けるのは「接続詞」のタイミング
ではどんなときに目線を上げればいいかというと、接続詞(的な言葉)が出てくるタイミングです。
「ここまでは順調に来ていました。ところがですね(→目線を上げる)……」
「ついに業界1位になったわけですが、そのとき(→目線を上げる)……」
「これはP2Pの仕組みを利用しています、つまり(→目線を上げる)……」
接続詞が出てきたタイミング、とくに逆接などで「続きが気になる」タイミングでは、聞き手も思わず目線を上げます。
また、たいていの場合、接続詞はスライドにはわざわざ書かないことがほとんどですから、ここで自信を持って顔を上げるようにしてください。
そのときにプレゼンターが聞き手のほうに視線を向けていれば、「あ、この人はこちらを見ながら話してくれているな」という印象を与えることができます。
実際、テレビドラマや映画の主人公を見ていると、しばしば接続詞的なセリフのときに振り向いたり、目を上げたりするカットが入っていることがあります。これらは臨場感を高める演出なのでしょう。
さらに体や視線の「向き」も
意識してみよう
慣れてきたら、接続詞を口にするごとに視線の向きや身体の向きを変えてみましょう。私自身もこれは頻繁にやっています。
せっかくですので、次の文章を読みながら「さらに」「最後に」という言葉で目線を上げるイメージをつかんでみてください。
「ただいまこちらの製品を紹介いたしました。
さらに(→目線を上げる)続いてご紹介したいのがこの新製品です」
「本日は弊社のサービスについてお話ししてまいりましたが、
最後に(→目線を上げる)実施中のキャンペーンのご説明をさせてください」
慣れないうちは、紙の資料やスライドを見ながらになってしまうと思いますが、まずは「接続詞のタイミングで目線を上げる」ことから意識してみてください。
こうした小さな努力を続けていけば、次第に聞き手のほうを見ながら話すことに慣れていきます。