9月29日にスカイマークの新経営体制が発足したが、関係者間の主張はぶつかり合っている。左からANA出身の矢口秀雄専務、佐山展生会長(インテグラル代表)、日本政策投資銀行出身の市江正彦社長 Photo by Ayako Suga

スポンサー選定をめぐってもめにもめたスカイマークの再建だが、どうにか9月29日に新体制が発足した。しかし、ANAが運営する予約システムの導入という新たな火種がすでにくすぶり始めている。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

「これからが本当の戦い。これまでは外との戦いだったが、今からは中との戦いになる。しっかり覚悟を持って再建に取り組んでほしい」

 9月28日、民事再生手続き中のスカイマークで開かれた、旧経営陣による最後の取締役会で、井手隆司会長(9月29日をもって退任)は、役員ら8人を前にこうげきを飛ばした。

 翌29日、スカイマークは新たな船出を迎えた。100%減資し、インテグラルやANAホールディングスなどのスポンサーが180億円の資本を注入。同時に井手会長や有森正和社長は退任し、会長にはインテグラルの佐山展生代表が、社長にはANAが指名した日本政策投資銀行出身の市江正彦氏が就任した。

 スカイマークの再建に当たっては、8月5日の債権者集会でANAがスポンサーになることで決定。今後、スカイマークとコードシェアを実施するなどして支援する方針だ。

 コードシェアとは共同運航のこと。ANAがスカイマークの座席を買い取り、利用者に販売することになる。ANAが座席の在庫リスクを一定程度負担することで、スカイマークの負担を軽くするわけだ。

 ANAは、これまでにも新興航空会社のエア・ドゥやスカイネットアジア航空に出資しているが、その支援策としてやはりコードシェアを実施、3~4割の座席を買い取っている。

 しかし、このコードシェアこそがスカイマーク再建の新たな火種になりつつある。冒頭の井手氏の言葉に見られるように、スカイマークとANAの主張がぶつかり合っているのだ。

予約状況が筒抜け
財布も握られて
独立面で猛反発

 その理由は、ANAが開発して運営する予約システム「able(エイブル)」をめぐるものだ。

 ANAは、コードシェアするに当たり、スカイマークに対しableの導入を求めている。これまでANAが出資してきたエア・ドゥやスカイネットアジアには、もちろん導入されている。

 しかし、スカイマーク側は「独立性が損なわれる」として導入を拒んでいるのだ。