地元企業による経済的効果は
大手企業の2~4倍にもなる

みな真剣に話に耳を傾けていた

 小さな会社のネットワークは日本が目指す未来だ。『スモールマート革命』(マイケル・シューマン著)という本が少し前に話題になった。それによるとウォルマートやショッピングモールに代表される大きな企業よりも、地域に根ざした小規模なビジネスの会社の方が経済的貢献度はが高いのだという。例えば『100円を地元企業が使う場合、その100円が地元経済にもたらす効果は、非地元企業の2~4倍になるという研究結果がすでに得られている』のである。

 地場のスーパーマーケットの役割は、経済的にもますます大きくなっている。前述の本によるとクリーブランド市で起きた地元産食品購入運動で4分の1の食品を地元産に切り替えただけで、2万7000千件の新しい雇用が生まれ、地域に毎年40億ドル以上の売上をもたらし、年10億ドルの所得増加と1億2600万ドルの税収の増加をもたらしたという。

 大企業が重視されている日本ではまだそうした現象を聞くことはない。JALや東電のような巨大な企業が政府によって救済されることで『大企業に入れば安心』という空気がつくられ、メディアが連日、中小企業や地方の商店街、農業の危機的な状況を報じているなかでは仕方がないことかもしれない。

 でも、時代はたしかに変わってきているのだ。少し前の時代であればこんな風に生産者、販売者が一つの場所に集まるということはなかった。大きな流通ではない人と人との繋がりやコミュニティを基盤にしたビジネスモデル──『福島塾』は日本版のスモールマート革命といえるかもしれない。

 『スモールマート革命』の面白いところは「それを妨げているのは(政府や補助金ではなく)貴方自身だ」という主張である。それによると消費は(企業に対する)投票行為である。本当に美味しいものを購入することで、食をめぐる状況は変わっていく。

 〈おいしさとは何か〉という自分自身への問いかけに答えはない。というよりもその問いかけを心に抱き続けて生きることに意味がある。それはやがて心に深く沈んでいき、やがて自分のあり方を柔らかく変え、世界が違って見えるようになるだろう。おいしさとはなにか。その答えが僕にもわかる日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。でも人生とはそういうものなのだ。きっと。

(写真/志賀元清)