時代の変化を日本人ならではの企業家精神で乗り切れダイヤモンド社刊
2100円(税込)

「企業家精神の原理とは、変化を当然のこと、健全なこととすることである」(ドラッカー名著集『イノベーションと企業家精神』)

 人の世のものはすべて変化する。企業家とは、その変化を利用して価値あるものを生み出し、さらに変化を増幅して文明をつくっていく者のことである。

 したがって変化を当然とし、変化を歓迎する心意気でなければ企業家たることはできない。“管理者”ならば、管理しやすいようにと変化が起こらないことを祈り、変化が起こってもわれ関せず然とすることも許されよう。しかし企業家はそうはいかない。

 しかもこれだけ変化が急になると、管理だけではすまない。企業家なき企業は、企業として生き残れない。

 企業だけではない。公的機関や非営利組織まで企業家を必要とし、企業家精神を必要とするに至った。さらには、社長だけでなく、部長、課長、平社員、さらにはパートにまで、企業家精神が求められるようになった。

 今成功しているリーダー的な企業は、すべて企業家精神の発揮によって今日の地位にある。

 ドラッカーは最後まで、大化の改新、明治維新、戦後の復興の経験を持つ日本人の企業家精神に期待していた。

「企業家は変化を当然かつ健全なものとする。彼ら自身は、それらの変化を引き起こさないかも知れない。しかし、変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」(『イノベーションと企業家精神』)