社会貢献がブーム化してくると、それを仕事にしたいという人も増えてくる。僕が日常的に出あう人の中でも、CSRコンサルタントになりたいという若者も増えているし、会社を辞めてNPOを作りたいというビジネスパーソンも多い(実際にそうしている人も増えてきた)。何でもいいから社会貢献の仕事をしたいという学生もよく見かける。一昔前なら、何でもいいからマスコミや広告の仕事をしたいという学生が多かったが、最近ではそのような声はさっぱり聞こえてこない。やはり時代は変わったのだと思う。

 社会貢献を仕事にしたい人が増えてくると、当然のようにそのような人たちをターゲットにしたサービスも増えてくる。最近ではNPO経営とかNPOマーケティングのセミナーなんか、しょっちゅう開かれている(僕自身も講師を依頼されることもある)。社会起業家になりたい人も増えているようで、そういった人たち向けのサービスも増えている。

 関西学院大学では2008年4月に社会起業学科を開設。社会起業家の父と呼ばれるアショカ財団のビル・ドレイトンを招いて講演会を開くなど、なかなか充実したサービスを提供している。社会起業家やソーシャル・ビジネス・プロデューサーを目指す人たちのための通信講座を開設する団体も出てきた。

社会起業家養成のための
ビジネススクールがついに登場

 そんな中、ついにというべきか、社会起業家を養成するためのビジネス・スクールが登場した。その名も「社会起業大学」である。 学校の説明によると、

「社会起業大学は、志の高い真の「社会起業家」を輩出し、社会的課題の解決を促進するとともに、新たな産業・雇用の創出と自分らしさと社会性の共生という新たな「働き方」を実現したいという想いで設立されました」

ということだ。「社会性と経済性の両立できる人材育成」を掲げていて、

・地域活性化の方法論を学ぶ「地域活性学部」
・スポーツ活動を「まちづくり」「地域活性化」「組織活性化」などに活かす「スポーツイノベーション学部」
・そしてさまざまな社会問題を解決する社会貢献ビジネスを総合的に学ぶ「総合プロジェクト学部」

の3つの学部から構成されている。

今年の4月に開校した「社会起業大学」。豪華講師陣による講義に加え、各種ワークショップも充実。社会起業家を目指す第一期生が学び始めている。

 今年の4月に開校して、すでに一期生が学び始めている。講師陣を見ても、みやじ豚の宮地勇輔氏、ビッグイシュー日本代表の佐野章二氏、ファザーリングジャパンの安藤哲也氏、チャリティ・プラットフォームの佐藤大吾氏など、社会貢献に関心のある人なら一度は名前を聞いたことがあるだろう人たちが並んでいる。理事会には、あの「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者で、法政大学大学院教授の坂本光司氏の名前もある。なかなかの充実ぶりだ。

 平日夜や土日の時間を使った約4ヵ月間にわたる講座、ワークショップなどがあり、学費は35万円だ(入学金および授業料)。1時間あたりの学費は、他の起業塾系に比べるとかなり安いと学校側はいうが、それでも35万円の学費はけっして気軽に出せる金額ではない。いったいどんな人が入学したのだろう。気になって取材してみた。