日露関係はどう進展するか
北方領土問題の行方は

 ロシアにとって日本との関係は、中国や米国との戦略上も重要である。プーチン大統領の支持率は85%にも達し、領土問題でも果敢な決断ができるのかもしれない。ただ常識的には、クリミア併合で支持率の上がった大統領が、日本との領土問題で妥協するとはなかなか考えられない。しかしプーチン大統領は稀代の戦略家と言われ、東方戦略で活路を開くことは重要と考えるのだろう。

 日本にとっては、北方領土問題の長い経緯や世論の動きを考えると、従来の立場(4島の帰属を明確にし、平和条約を締結する。返還の態様は柔軟である)から大きくはずれることも困難があろう。従って、前のめりになるのは避け、ロシア側の態度も見極めたうえで、従来にはなかったような新しい発想で問題解決を図ることが必要なのだろう。

 また、上述した米国の警戒心などを見れば、対ロ制裁に参加している日本が日露関係の促進を図ることが国際社会でどのように受け止められるは想像に難くない。日本の行動には同盟国米国との十分な意思疎通が必要であろう。

 北方領土問題を解決していく上でも、ロシアとの関係を中長期的視野に立って考えていく必要があるのだろう。ロシアが孤立するあまり中国と結び、「新冷戦」に進むことは現段階ではなかなか考えにくい。ロシアには経済的実力はないし、中国も米国と決定的対立を望んでいるとは考えにくいからである。従って、ウクライナ問題が解決に向かえば、制裁が緩和され、欧米との一定の協調関係に戻る可能性はあるし、日露関係も進めていく余地が出てくる。

経済関係では大きな機会がある
ロシアを東アジアでどう位置づけるかも課題

 他方、福島事故以降ロシアに対する日本の石油・天然ガスの依存度は増え、ロシアにとっては極東の開発の必要性も高まっていることから、日露経済関係に関する限り、大きな機会がある。また北極海航路が将来開設されるようなこととなれば、日本の欧州への海運路として大きなコスト減となる。

 ロシアの東方戦略上も、資源のアジアへの輸出だけではなく、経済成長率の高い東アジアとの関係増大が課題なのであろう。

 ロシアは東アジアサミットや北朝鮮核問題6者協議のメンバーでもある。日本は、政治・安全保障・経済にわたって、ロシアが東アジアの中で建設的な役割を果たすよう働きかけていかねばならない。