エコカー世界大戦争のさなか、電気自動車など電動化車輌について、筆者自身が「予期しなかった体験」に遭遇している。そのなかから、3つの事例を紹介する。

体験その1
激走!EVタクシーを目撃

 2010年5月21日の正午過ぎ、皇居のすぐ近くで、電気自動車の三菱「iMiEV」が、かっ飛んでいた。これは、日の丸リムジンが3月17日から東京都内で導入した、EV(エレクトリック・ヴィークル)タクシーの「ZeRO TAXI(ゼロタクシー)」だ。

手前は三菱自動車の「iMiEV」。奥はホンダ「インサイト」

 皇居の周回路にあたる内堀通りの気象庁前交差点で、同EVタクシーの真後ろに私が運転する車が止まった。リアガラス越しに見える同EVタクシーの後席には、サラリーマン風の男性がひとり乗車。右手に持った書類か雑誌を、大きくパタパタと仰いでいる。同日の都心の気温は30度近かった。

 信号が青になるや否や、そのEVタクシーは軽自動車の外観とは似ても似つかなぬスピードで急加速した。その急加速行為は、前方の遅いクルマに引っかかったため、法定速度内で終わった。同車内からはこんな会話が聞こえてきそうだ。

 運転手「どうです、ビックリしたでしょ。分かって頂けましたか、お客さん。電気自動車って凄く速いでしょ」

 お客「いやあ、確かに速いね。電気自動車って、エコなイメージだから、もっとノロノロ走りそうだけど。それはそうと…」と、右手を大きくパタパタさせて「もうちょっと、クーラー強めにならないモンかね?」

 運転手「すみません。クーラーとかヒーターとか、電池を大きく食っちゃうもので、温度控えめナンです」。