――地方創生の交付金は、15年度補正予算で1000億円、16年度本予算で1000億円の合計2000億円ですね。

 予算額は多いに越したことはないでしょうが、バラマキにならないよう、総合戦略では根拠のあるKPIを設定し、PDCAサイクルを回すことが求められます。戦略の内容は、自治体によって差が出るでしょう。しかし、もはやどこも同じように扱っていては、どこも同じように沈みかねません。そこで地方創生については、先駆的な事例に優先配分する方式をとります。財政難のこの 時代においてはやむを得ないことだと思っています。

――各自治体に予算をつけるかどうかについては、どこが、どのような基準で判断するのですか。

 政府の地方創生本部において、極力、客観的に判断します。14年度の緊急支援交付金もそうでしたが、予算は満額つくところもあれば、ゼロ のところもあります。「ゼロなんて無慈悲な」などと言われたりしますが、自治体にはなぜそのような結果になったのか考えていただきたいと思っています。

大切なのは住民一人ひとりに
当事者意識をもってもらうこと

――地方の再生はやはり自治体の首長の手腕で、差が大きく出ると思います。自治体の首長に何を期待されますか。

 地方創生は、その自治体が現在どういう状況にあるのか、住民に明確に丁寧に説明するところから始まります。それぞれの市、町、村の人口はどれくらいで、これからどうなっていくのか、産業はどうなっていて、どう変えていきたいのか、首長が集落に赴いてまず説明する。

 一方、今まで日本は、住民の側も、「おまかせ民主主義」の傾向が強かった。15年に統一地方選挙がありましたが、無投票で決まるケースがかなり多かったですね。住民にも何でも行政任せの傾向がある。これに対して、すぐれた首長さんは、自分たち行政には何ができるのか、住民に何をして欲しいのかを明確に伝えています。

――全国を行脚しておられる大臣から見て、印象的な事例はありますか。

 それは山ほどありますね。印象に残っているのは、島根県海士(あま)町、邑南(おおなん)町、北海道音威子府(おといねっぷ)村、石川県羽咋(はくい)市、富山県高岡市、岡山県真庭市、倉敷市、広島県尾道市などなど、あげればきりがありません。

 例えば、愛知県の長久手市です。ここは住民が自分たちでできることは、自分たちでやる。高齢者のボランティアを組織化したりして、ワンコインサービス事業をやっています。100円または500円のワンコインで、ごみを出す、 郵便物を出す、買い物にいく、草刈りにいくなどの作業を代行する。自治体が何でもやるのではなく、それぞれの住民が何ができるのかを考えて、お互い助け合っている。長久手市は総合戦略も、中学生や高校生も計画づくりに参加していて、しっかりしています。