なぜ「虚業」のビジネスは目の敵にされるのか新規ビジネスはいつの時代も「虚業」と言われがち。しかし、なんでもかんでも「虚業」と呼ぶ人は“オジサン”になった証拠かも

 いつの時代にも「虚業」と呼ばれる産業がある。「堅実ではない」「空虚な」という意味合いで使われ、反対語は「実業」である。多くの場合、その言葉は「一生懸命働いている(と自己評価している)オジサンたち」が非難のニュアンスを込めて使う。

 かつて私が所属したリクルートも、1980年代後半ごろには「虚業」と呼ばれ、社会的に批判されることが多かった。その理由はいろいろ考えられるが、つまりは当時のリクルートの「広告を集めて情報誌にする」というビジネスモデルが、それまでのビジネス感覚とはかけ離れており、かつ比類ないほど高い収益性があったことが問題だった。たとえば今なら、ソーシャルゲーム(スマホゲーム)、各種の情報アプリなどが「虚業」といわれる範疇に入るだろう。

「虚業」と呼ばれる4つのビジネス

 一口に「虚業」と言っても、人によって意味するところはさまざまだ。大きく分ければ以下の4つのパターンがあるように思う。

1.詐欺のような、そもそも嘘のビジネス

 架空の投資ビジネスや違法なネズミ講など、倫理的にも法律的にも問題のあるビジネス。これらは、まったくもって「虚業」と呼ばれてしかるべきものであり、非難されても仕方がないものである。

2.頭脳労働だけのビジネス

 体を動かしてモノを作ったり、人が直接的にサービスすることのない頭脳労働は、「汗水たらして働くのが良いことだ」という感覚から見れば「悪」であり、「虚」になる。「不労所得」という言葉が持つ、「頑張っていない」「楽をして稼いでいる」というイメージにつながる。投資ファンドなどがこの範疇に入る。