都合のいい事実を取り上げる挺対協
朴大統領が説得にあたっている現実は重要

 慰安婦の実態を研究し、『帝国の慰安婦』という一冊の本にまとめた朴裕河教授は、強制性や慰安婦の実情について挺対協の主張する実態と異なる見解を示したことから、挺対協系の元慰安婦に名誉棄損で訴えられ、民事裁判で900万円の損害賠償を命じられた。さらに刑事裁判も進行中である。

 挺対協は元慰安婦からの証言をもとに慰安婦問題の事実関係のストーリーを作り上げた。それは元慰安婦の体験だけであって、その父母との関係には触れていない。しかも、挺対協は自身に都合のいい事実だけ取捨選択している。加えて、吉田証言のような偽証をした、日本の左派系人物の証言を取り上げている。

 慰安婦問題は、朴裕河教授のような研究者として評価の高い人がきちんと調査し、客観的事実をもとに全体像を示していくべきであるが、それを妨害しているのが挺対協である。誤った事実の上では解決策を得るのは難しい。したがって、慰安婦問題をすっきりと解決するためには挺対協の誤りを指摘していく以外ない。朴大統領はそうした挺対協を相手に説得工作をしているのである。

 また、野党の文在寅前代表などは、本合意の無効性を指摘しているが、これに対しても、朴大統領は「批判は誰にでもできる。問題解決に向けて何もせず(著者注:歴史問題にひたすらこだわった、文氏の盟友・盧武鉉元大統領のこと。この問題が未解決だと主張はしたが、これが問題を拗らせる一端になった)、今さら無効を主張し政治攻撃するのは残念」と反発している。

 もともと、挺対協系の元慰安婦や共同生活する「ナヌムの家」に属する元慰安婦がこの合意に同意することはなかったであろう。しかし、朴政権はそれ以外の元慰安婦とも接触し、理解を得る努力を続けている。そして、アジア女性基金の当時を振り返れば、挺対協が元慰安婦に「償い金」の受け取りを拒絶させ、受け取った人には執拗に嫌がらせをしなかったならほとんどの人々が受け取ったであろう。

 こうした状況から、今般韓国政府が日本に説得の負担を押し付けず、大統領自ら先頭に立ってこれら慰安婦の説得にあたっている現実は重要である。挺対協もめちゃくちゃな圧力を元慰安婦にかけられないはずである。