親の計算どおりの成功と失敗を
まだ早いと判断した私は、ふとんを抱えさせて、その上から私の体重をかけて、息子に尻もちをつかせました。
そして、「早く大きくなって手伝って」と、息子ひとりではまだできないことがあるのだと悟らせました。
この時期には、何にでも挑戦したがります。大いにしたいことをさせて、親の計算どおりの成功と失敗をさせてください。身のほどを知らせる、よい機会です。
ただし、成功には最大の賛辞を、失敗には励ましを使い分けます。
ほめてばかりではいけません。かえって逆効果です!
ほめ言葉と誠実な批判が、子どものやる気を育てます。
(Kisou Kubota)1932年生まれ。医学博士、京都大学名誉教授。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。『ランニングと脳』『天才脳をつくる0歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』など著書多数。
「まだ早い、しないで」という親の言葉に、素直に従うことができると、うまくできるためには努力が必要だ、ということもわかり、積極性を失うことはありません。
上達ぶりを大げさに表現しよう
やりたいときにやらせて、その上達ぶりを大げさに表現してください。
「ワー、上手ね。こんなにできるとは思わなかった」
「これなんか、お母さんより上手ね」
という具合に。息子には、
「あなたの年で、そのぐらいできたらたいしたものね」
が、私の最大級の賛辞でした。
≪競博士のひと言≫
子どもから「する、できる」と言ったときには、できるように仕向け、できたらほめます。ほめられると自信が生まれ、気分もよくなり、ほめられた行動をよくするようになります。
中脳皮質辺縁系(動機づけの回路)には、快感を感じる“側座核”と呼ばれる場所があります。