ベスト16という成績で終えたW杯をひと区切りとしたかのように、日本サッカー界が人事を刷新。新たなスタートを切った。
日本サッカー協会(JFA)会長は犬飼基昭氏から小倉純二氏に代わり、理事会のメンバーも改選された。また、Jリーグのチェアマンは鬼武健二氏から大東和美氏にバトンタッチされた。
JFA会長もJリーグチェアマンも任期は1期2年間。どちらも理事による互選で決められるが、2期4年間を務めるのがこれまでの慣例だ。チェアマンの鬼武氏から大東氏への交代は慣例通りだったが、JFA会長だった犬飼氏は1期しか務めていない。しかも犬飼氏はJリーグの開催シーズンを秋―春制に移行することを強く主張し、続投に意欲満々だった。そんなところから一部週刊誌は今回の会長交代劇を協会内の主導権争いであり派閥抗争、反犬飼派のクーデーターなどと書きたてた。
まあ、組織には多かれ少なかれ、そうした争いはある。加えて人は人事問題のゴタゴタが大好きだから週刊誌も面白がってネタにしたのだろう。だが、ファンにとっては日本のサッカー界がいい方向に向かって進んでいってくれればいいわけで、人事を巡る争いなどさほど気にしていないはずだ。
新会長の小倉氏は国際派、
チェアマン大東氏はラグビー出身の変わり種
新会長になった小倉氏は国際サッカー連盟(FIFA)、アジアサッカー連盟(AFC)の理事を務める国際派。世界のサッカー界の要人とも知己を持つ。独断専行の剛腕タイプだった犬飼氏とは異なり穏やかな紳士。川淵三郎JFA名誉会長とは古河電工時代からの先輩・後輩の仲で、川淵氏の意向には逆らえないという声もあるが、発展途上の日本サッカーがトップレベルの末席に加えてもらおうとしている今、その顔になるのは悪くないのではないだろうか。
一方、Jリーグのチェアマンに就任した大東氏は同じ英国発祥のフットボールでもサッカーではなくラグビー出身の変わり種だ。早稲田大学時代は日本選手権で優勝しており、日本代表に選ばれ国際試合でプレーした経験も持つ。サッカーにかかわりを持ったのは住友金属に勤めていた関係で鹿島アントラーズの専務―社長を務めることになったから。熱いスポーツマインドを持っているうえ、サッカーひと筋の人とは異なり客観的な目でJリーグ振興策を考えられるはずで、大東氏のチェアマン就任も期待が持てる人事だ。