日本銀行によるマイナス金利政策導入から3カ月が経過したが、日本の長期金利の低下傾向は止まらない。10年債利回りのマイナス状態は定着し、20年、30年といった期間の長い国債の利回りも限りなくゼロに近づいている。
利回りがなかなか低下しないのが物価連動国債だ。10年債利回り(名目金利)から10年物価連動国債利回りを差し引いたものをブレークイーブン・インフレ率と呼び、市場のインフレ期待を反映したものとされるが、10年債利回りが低下する中、物価連動国債利回りが下がらないということは、このブレークイーブン・インフレ率が下がっていることを意味する。つまり、市場のインフレ期待が下がっていることになる。
インフレ期待を高めるために導入したマイナス金利政策が、むしろ市場のインフレ期待を下げている格好であり、興味深い動きだ。
物価安定目標を掲げる日銀としては非常に悩ましい状況であるといえるが、インフレ期待の低下が為替市場にも大きな影響を及ぼすことに注意が必要だ。