あなたが読むその数字が、ある人によって生み出されたものだとしたら、その人の感情が込められている可能性があるのです。いったいどういうことか説明しましょう。
このリサーチは街頭調査によるものですが、そもそもこんな「余計なお世話」な質問に対して、はたして本当の数を答えるものでしょうか。
「こんな失礼な質問、適当に答えておけばいいや……」「中途半端に多いとイメージ悪そうだし、少なめに言っておこう……」などといった心理が働くのではないかと筆者は想像します。
つまり、この調査方法では、実態よりも少なく申告する人が多くなる可能性が高いということになります。
逆に、男性に対し同様の質問をしたら、ひょっとすると平均人数は実態よりも多くなるかもしれません。
「さすがに、ゼロとは答えにくいな……」といった心理が働くかもしれないからです。
実際、このようなアンケートをすると、男性は実態の3倍の人数を言い、女性は実態の3分の1の人数を答えるという俗説もあるようです。
見栄っ張りな男性、イメージを守りたい女性。そう読み解いていくと、この平均4.5人のような数字が、いかに「何も語らない数字」である可能性が高いかがわかってきます。
優秀な理系出身者ほど抜けてしまう視点
そろそろ、まとめに入りましょう。
数字の「裏」を読むときに必要なこと――それは、その数字が誕生したのはいつ、どんな場面で、どんな人が、どんな感情であったかまで考えることです。
少し哲学的なことを言えば、人間がいなけれれば数字というものはおそらく存在しません。ということは、「数字あるところに人間あり」なのです。
しかし意外にも、いわゆる理系出身で数学的知識のある人物ほど、この視点が抜けてしまい、数学的理論だけでデータを読み解こうとします。
優秀な人ほど、そんな落とし穴にはまらないよう気をつけてほしいものです。
数字の裏を読むとは、人の心の裏を読むことでもあるのです。