例2:1ページの絵本に
前記の童話も、たった1ページの絵本に仕立てます。
「お山の上に大きな、大きな木がありました。リンゴの木です。
真っ赤なリンゴが、いち、にい、さん、みっつあります。
黄色いリンゴが、いち、にい、ふたつあります。
青いリンゴは、いち、にい、さん、わーぁたくさんなってます。
赤いリンゴ、おいしそうだね、とってもおいしそうだね。
あっ!落っこちた。
赤いリンゴは、コロコロ、コロコロと坂道をころがり落ちました。
下のほうに大きな池があるよ、赤いリンゴは、ころがってお池にポシャーン
と落ちました」
こんな単純なくり返しでいいのです。
くり返し発声させるので、口のまわりに発声しやすい筋肉もつき、子どもはあきずに喜びます。
こんな単純な童話でも、擬音に興味がある子、数に興味がある子、色や形、絵に興味がある子など、今までの感覚の受け止め方で、個性や想像力の表出の仕方が違ってきます。
想像力が飛躍的に発達する方法
(Kisou Kubota)1932年生まれ。医学博士、京都大学名誉教授。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。『ランニングと脳』『天才脳をつくる0歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』など著書多数。
また、手づくり童話の中に、風の吹く音、雨の降る音、川のせせらぎ、動物の鳴き声、飛行機の音など、同じ発音を何度もくり返し聞かせてあげてください。
音から映像をイメージでき、映像から音をイメージするようになって初めて想像力が飛躍的に発達します。
興味を強く持つものととり合わせたり、不得手なものに働きかけをしたりして、より円滑な脳の持ち主に育てるのが、幼児教育の大事な目標です。
≪競博士のひと言≫
「ママ」「パパ」と言えるようになり、おもちゃで遊ぶようになると、絵本も見るようになります。
絵本をおもちゃにする前に、創作童話をつくって話します。
すると、言葉を理解して話すようになるだけでなく、感性が磨かれ、思考力がついてきます。
童話には伝えたい主題があり、どこで、何が、どうしたかを、不完全な形で話します。
子どもは話を理解すると、言葉を覚え、絵で表現することを覚え、話し方も覚えるのです。
ぜひ、同じ発音を何度もくり返しながら楽しんでみてください。