「ゼロの歴史」を知っていますか?
(Kisou Kubota)京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
算数・数学の歴史を知っていれば、簡単に答えられます。
整数(英語で「Integer」)とは、1から始まり次々に1を加えていく数(自然数、正の整数)、およびこれに「−1」を乗じて得られる負の数(負の整数)および0の数の総称(whole number)です。
数字「0」が使われるようになったのは、最近のことで、英語で「zero」が最初に使われたのは1598年だと、「Merriam-Webster」の辞書に出ています。
英語の「zero」は、フランス語の「zero」、イタリア語の「zefiro」、アラビア語の「safira」か「stfr」、インドのサンスクリット語の「sunya」にまでさかのぼります。ギリシャ、ローマ時代にはありませんでした。
人類初の数学と天文学の本は?
7世紀にインドのPradesh州に住んでいたブラーマグプタが、30歳のときに、数学と天文学の本(ブラーマスフタシタダーンタ、Brahmasphutasiddhanta=Brahmaの正しく確立された学説)を、詩の形式で書き残しています。
そこに初めて「0」を数字として記述しました。
0たす正の数は正の数である。
0たす負の数は負の数である。
0たす0は0である。
正の数か負の数を0で割ると、0が分母にくる分数である。
0わる0は0である。
これが0でわることを試みた最初ですが、なぜそうなるかの説明については書かれていないので、ブラーマグプタが何を考えていたのかわかりません。
現在の数の理論では、「不定」(undefined,indeterminate)といわれています。
電卓で数を0で割ってみると、「E」と出てくる。
「E」はおそらく「ERROR」の略だろうと思われるが、間違いです。本来は「不定」と書かなければなりません。今のままでは、電卓には間違った答えが出ている、と言われても反論できません。電卓を製造販売している人たちは、なぜそうしているのだろうか?知りたい。
0とは、かくも深く、面白い数ですね。