ライオン デジタル戦略部 データサイエンスグループ 大吉和奏さんライオン デジタル戦略部 データサイエンスグループ 大吉和奏さん Photo by Mayumi Sakai

ChatGPTを業務に活用しようという企業が増えている。ライオンは5月22日に、グループの国内従業員約5000人に向けて、ChatGPTを利用した自社開発のAIチャットシステムを公開した。企画資料の作成サポートや、専門用語を理解しやすい一般的な言葉に翻訳することで社内外コミュニケーションを円滑にするなど、さまざまなシーンで業務効率化を図るという。企業でChatGPTをフル活用するには何が必要なのか? プロジェクトメンバーに聞いた。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

ChatGPTとペアプログラミング
第一印象は「とってもいい相談役」

 ライオンが公開した対話生成AIは、日本マイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を活用したもので、正式名称は「LION AI Chat Powered by ChatGPT API」という(以下、LION AI Chat)。LION AI Chatプロジェクトをリードする一人、デジタル戦略部 データサイエンスグループの大吉和奏さんは、ChatGPTに初めて触れたときの印象を「質問しやすい人ができたと思った」と振り返る。

「私はよくプログラミングをするのですが、コードの書き方を忘れてしまうことがあるんです。そのたびにインターネットで検索したり、過去に自分が書いたコードを参照したりしていました。でも、ChatGPTにお願いすれば、コード自体を代わりに書いてくれますし、追加で要望すると、より希望に沿ったコードを提案してくれます」

 まるで、ChatGPTとペアプログラミングをしているかのようだ。

「ChatGPTが出力してくれたコードをそのまま使えるかというと、そうではないことも多いのですが、まっさらな状態から方向性を示唆してくれたり、『この関数を使えばいいんだ』という最初のきっかけを提示してくれたり、便利に使うことができます」

 LION AI Chatをリリースすると、大吉さんは、LION AI Chatに質問しながら一人で部内向けのアプリを開発した。