――日本の読者へメッセージを。

 私は日本の伝統である「師を真似て、学ぶ」という文化をたいへん尊敬している。私自身がこの方法で、日本人の囲碁の先生について学んでもいる。初心者は自己流に走らず、一流の師を真似ることから始めるのが、のちの大きな成長につながると思う。

 かつて日本製品は「欧米製品のコピー」と揶揄されていた。しかし、コピーから始めたものが品質で他を凌駕し、日本発の世界的なトップブランドがいくつも生まれた。経営コンサルタントたちは「ベンチマーク」などと専門用語を使うが、要するに「最高のものを真似る」ということだ。

 日本人の素晴らしい「真似ぶ=学ぶ」力は、マインドマップにおいても大いに発揮されている。

 マインドマップを教えるための公認資格、TLI(ThinkBuzan ライセンス インストラクター)は日本で200名を数え、世界で最も多い。講座の受講者たちは驚くべき吸収力で学び、素晴らしいマインドマップが次々と生まれている。彼らは教育、政治、医学、ビジネスはじめあらゆる分野でリーダーシップをとる立場にある。

 さらに2013年夏、私の考えに賛同するメキシコの前大統領、ビセンテ・フォックス氏が中心となって「ルネッサンス・アカデミー:MIQリーダーズ・プログラム」という学校が開校した。MIQとは、一面的な知的能力しか測れないIQに対して、Maltipleすなわち多面的なIQ(多重知性)という意味である。MBAコースではできなかった全人的なリーダー養成を行い、世界にイノベーションと平和をもたらすという理想を掲げている。

 私はこのプログラムでマインドマップを教える。マインドマップは一目で理解でき、異なる文化にある人同士が理解しあい、より緊密に協力するために役立つツールだ。これにより、平和で調和のとれた世界が実現することを心から願っている。


<新刊書籍のご案内>2013年12月20日発売

ノーベル平和賞にマインドマップの発明者が<br />ノミネートされた理由

『マインドマップ・リーダーシップ
 ――現場主導で組織に革命を起こす』

マインドマップの発明者、トニー・ブザンと米国の経営コンサルタントが、現場の社員一人ひとりの創造性を高め、各人がリーダーとなることで、問題に率先して取り組むプロアクティブな組織に変革する方法を具体的に示す。マインドマップを取り入れた研修でメンバーの意識が変わり、チームが生まれ変わる事例を収録。

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