自治体初の「引きこもり支援」は地域の孤独を解消できるか?岡山県総社市は、一般の市町村では全国初となる「ひきこもり支援センター」を開設した。地域に埋もれている人たちの支援ニーズをどうすくい上げるかが喫緊の課題だ(写真はイメージです)

岡山県総社市「引きこもり」の実態
市町村で全国初の支援センター設置

 岡山県総社市は今年度、一般の市町村では全国初となる「ひきこもり支援センター」(愛称“ワンタッチ”)を開設した。

 地域で独自に水面下の支援ニーズを掘り起こそうとする総社市の先駆的な「ひきこもり支援」の取り組みは、国も先進事例として紹介するなど、今後、全国から注目を集めそうだ。
 
 また、ワンタッチへの相談者数は開設から50人を数えるものの、それに先立つ民生委員らの調査で判明した市内の「ひきこもり者」207人と比較分析すると、重なっている該当者はわずか3人だけだったことから、実態は「かなりの数に上る」ことも7月23日に開かれたフォーラムで浮き彫りにされた。

 もともと同市は、2009年に「障がい者基幹相談支援センター」を開設したのを皮切りに、12年に「障がい者千人雇用センター」、13年に「権利擁護センター」、14年に「生活困窮者支援センター」、16年に「60才からの人生設計所」を次々に立ち上げ、延べ相談件数は1万5865件(16年度実績)に上る。「全国屈指の福祉先駆都市を目指す」として、昨年度からは10ヵ年にわたる「第2次総社市総合計画」を進めている。

 そんな中で、「これまで個人や家族の問題と見られ、地域福祉の最後の課題と言われる“ひきこもり支援”が、総社の残された課題である」として、市と社協は15年8月に「ひきこもり支援等検討委員会」(委員長/西田和弘・岡山大学大学院法務研究科教授)を設置。岡山県社協の2年間のモデル事業として、定義や実態把握、連携支援体制の構築、居場所づくり、就労支援に関することなどを5つのワーキンググループによって検討してきた。