「日本のデフレは悪い結果をもたらしたが、私を含むわれわれが予想していたほど有害ではなかったと述べなければならない」

 イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)メンバーに任命された米国の経済学者アダム・S・ポーゼン氏は、7月7日の英議会財務委員会でそう証言した。

 ポーゼン氏といえば、かつて日銀のデフレ対策は手ぬるいと激しく批判していた急先鋒の1人である。2001年出版の『日本の金融危機』では、「金融政策の面では、日本銀行が中央銀行の行動規範に反した政策を取ってきたという考え方は共通している」と述べていた。

 上記の先日の証言でポーゼン氏は、次のように“懺悔”している。

 「日本のデフレは約マイナス1%まで下がったが、決して加速しなかった」

 「こういった事実は、いくつかの含意を示している。第一に、どんな緩和策でもデフレは素早く取り除けなかった。第二に、デフレは有害だが、われわれが想定していたほど破壊的ではなかった。第三に、われわれはシンプルにデフレをよくわかっていなかった」。

 一時期、米国の経済学者が激しく日銀を批判していた背景には、1930年代の米国のような破壊的なデフレになったら大変だというトラウマが存在していたように思われる。