課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。

上司と「対決」する人の生産性が低く、<br />上司を「安心」させる人の生産性が高い理由

マネジャーの最も本質的な役割とは?

 課長クラスのマネジャーにとって、チーム内の会議を上手にマネジメントして、スピーディな意思決定を実現することは、非常に重要な仕事です。ただし、チーム内の会議だけで意思決定が完結しないことに注意が必要です。

 企業における意思決定者は社長や取締役会であり、その意思決定権限を役職に応じて委譲しているわけですが、課長クラスのマネジャーに委譲されている権限範囲は限定的。そのため、チーム内で意思決定が完結することはむしろ少なく、予算的に“規模感”のある案件であれば、ほぼ100%上層部の意思決定を得なければならないのです。

 ここに、マネジャーの果たすべき重要な役割が生じます。自分のチームで決定した提案について、いかにスピード感をもって、上層部のGOサインを勝ち得るか。これこそ、マネジャーの最も本質的な役割であると言っても過言ではないのです。

 上層部のGOサインを得るのに時間がかかってしまったり、何度も差し戻しになっているようでは、いくらチーム内での意思決定スピードを速めても意味がありません。それどころか、メンバーからの信頼をも失う結果を招き、チームの生産性は大きく損なわれることになるでしょう。

 では、どうすればよいか?
 一言でいえば、社内のキーパーソンとの信頼関係を構築することです。もちろん、上層部のGOサインを最速で得るためには、提案のレベルが高いことが必須ですが、それは前提条件。そのうえで、マネジャー本人が社内キーパーソンの信頼を得ていることが、組織的な意思決定を最速で勝ち取る絶対条件なのです。