読者が本欄を目にする頃、米株式相場は9月の調整を終え、順当に復調モードだろうか。コロナ禍対応で、FRB(米連邦準備制度理事会)が史上空前の金融緩和を行い、3月下旬~8月に、金融相場での株高、債券高、そして金相場も急伸した。

 為替市場ではコロナ禍当初こそ「有事のドル高」といわれたが、やがて豪ドルとユーロが上昇してドル安感を醸し、米株高や金高をあおることにもなった。そして8月上旬に金が、続いて9月早々から米株価が反落調整に陥った。

 金融相場では、景気・業績の悪化段階から株価が急伸する。期待先導の相場であり、経済指標などの裏付けは伴わない。金融機関に所属するアナリストは客観的根拠に基づく予想を出すように定められたルール下にある。しかし、材料を掲げて語る予想では、期待で先走る相場をつかめない。コロナ禍で停止した経済が再開したことのみを材料に急反発したものを「景気回復の勢い」と評するようでは、株高を正当化するだけだ。