株投資 入門&実践#12Photo:PIXTA

投資の鉄則は「長期・積み立て・分散」。中でも最も重要で、かつ厄介なのはリスクを減らす分散効果だ。だが、個人投資家にもやりようがある。特集『株投資 入門&実践』(全18回)の#12では、個別株の組み合わせの妙で、インデックス投信の“いいとこ取り”ができるオリジナル分散投資術をご紹介しよう。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)

個人投資家でも実は簡単な方法で
リスクを抑えることができる

 投資の鉄則はよく「長期・積み立て・分散」といわれる。長期は文字通りじっくりと長い間、積み立てはコツコツと続けることだ。いずれも分かりやすい。それに対して、分散は投資初心者にはぴんとこないかもしれない。

 だが、この分散はかなりの効果を発揮する。きちんと勘所を押さえれば、個人投資家でも簡単にリスクを抑えることができる。

 ここでいうリスクとは何か、おさらいしておこう。リスクとはリターンのぶれ幅のことだ。投資には大前提があり、リターンとリスクは表裏の関係にある。リスクが大きければ高いリターンも期待でき、リスクを小さく抑えればリターンも小さくなる。運用のプロたちは、このリスク当たりのリターンを高めるべく、頭を悩ましている。

 リスクを抑えた投資商品といえば、インデックスファンドがある。日経平均株価のインデックスファンドの信託報酬(保有コスト)は年0.154%から0.44%ほど。低コストで手に入る。だが、投資金額にもよるものの、それよりもお金をかけずに実現させる方法がある。値動きのパターンがなるべく異なる個別株を組み合わせる「組み合わせ投資術」だ。

 個別株を組み合わせるだけで、なぜリスクが下がるのか。

 そもそもリスクには「銘柄固有リスク」と「市場リスク」の2種類がある。銘柄固有リスクとは製品の欠陥、役職員の不祥事、経営戦略の失敗など、それぞれの企業の事情によって生ずる価格変動リスクのことだ。

 もう一つの市場リスクは、景気変動、為替レートや金利の変動などによって全ての銘柄が影響を受けずにはいられない、日本株式市場全体の価格変動リスクだ。

 このうちまず避けるべきは、銘柄固有リスクの方だ。もし1社に絞って集中投資していると保有銘柄の固有リスクは全部降りかかってくるが、10社に均等投資していると10分の1に、100社なら100分の1に減っていく。

 このように銘柄固有リスクをそぎ落としていくと、影響を受けるのは日本株全体の市場リスクだけとなる。

 次ページの図を見ていただきたい。株式の保有銘柄数によって、銘柄固有リスクがどれだけ分散されるのかを示している。リスクを減らすには、銘柄を幾つ持てばいいのか。意外に思われるかもしれない。