通常、投資といえば分散投資がセオリーだが、投資家の遠藤洋氏は小型株への集中投資を得意とする。その手法は、「勝てる投資家」のマインドを磨き、損切りルールを決め、3倍株や10倍株となり得る小型株を見つけ出すというものだ。特集『資産1億円の作り方』(全19回)の#3では、遠藤氏の投資術を詳述する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
FXや大型株での失敗を経て
小型株集中投資に到達
投資知識ゼロの遠藤洋氏が投資を初めて行ったのは、大学3年の夏休みのこと。「何か新しいことを始めてみよう」と軽い気持ちで選んだのは、FX(外国為替証拠金取引)。家庭教師のアルバイトでためた30万円をつぎ込んだが、あっという間に全額を失ってしまった。
これに懲りた遠藤氏は投資の勉強をスタート。株式投資を始めた遠藤氏が最初に買ったのは、誰もが知る有名企業の株だった。ところが、株価は上がるどころかズルズルと下落。「すでに市場で大きなシェアがある有名企業は伸びしろが小さい」「知名度の高い有名企業はすでに皆が株を持っていて、新たに買う人は少ない」――。
そう思った遠藤氏は「時価総額が小さな会社に投資した方が何倍にも伸びる可能性が高い」と考えるに至った。
就職先も同様に考えた。近い将来有名になりそうな伸びしろの大きい会社に絞り、就職したのが、旅行比較サイトのトラベルコを運営するITベンチャー企業、オープンドアだった。実際、同社は2015年に東証マザーズ、翌16年には東証1部に上場を果たし、上場後に時価総額は6倍以上になっている。
オープンドアでさまざまなビジネスを学ぶ一方、投資も継続。だが、社会人になった後も続けていたFXで、800万円を一晩で失ってしまう。またしても痛い目に遭ったFX。値動きが激しく頻繁に取引が必要な投資はチャートに張り付かなければならない。これでは「お金から自由になるために投資する」という生き方に反するため、FXはきっぱりやめることにしたという。
ただ、株式投資は継続。投資で得た資金と給料やボーナスの一部をつぎ込み、JASDAQやマザーズなど新興市場の小型株に集中投資することで一気に資産を積み上げた。26歳で独立・起業した後には、スマホゲームのモンスターストライクを運営するミクシィへの集中投資で、資産を7倍以上に増やしたという。
無論、全ての投資が成功したわけではない。だが、株価が10~20%程度下落したら損切りするなどのルールを決め、その一方で数倍になる株に投資し、トータルで大きくプラスにするというスタンスで投資を行った結果、遠藤氏はいわゆる「億り人」になった。
では、その遠藤氏の投資法はいったいどういうものなのか、ポイントを見ていこう。