投資信託は株投資の入門商品。株高で業界も元気なはずである。だが、投信会社幹部たちの顔はさえない。投信が“どん詰まり”状態に陥っているというのである。追い風を受けながら入り込んでしまった袋小路とは何か。特集『株投資 入門&実践』(全18回)の#1では、投信会社幹部たちが覆面座談会で明かしてくれた。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣)
投信業界はホントに
つまらない業界になっちゃいました
B氏 投信会社経営者
A氏(投資信託会社幹部、以下A) 株高の追い風を受けて、2021年8月の公募株式投信(ETFを除く)は9カ月連続で流入超過。純資産総額は83兆円と過去最高を更新しています。
元気なはずの投資信託業界ですが、実はあまり面白くないですね。この1~2年の売れ筋ファンドはもうグローバル株か米国株、投資スタイルからいうと成長株投資。ほぼこれ一色なんです。
昨年の夏くらいまでは、例えば、グローバル3倍3分法ファンド(日興アセットマネジメント)やヘッジファンドのダブル・ブレイン(野村アセットマネジメント)のような話題性のある、勝負を懸けてくるような商品もありました。それが今は勢いを失っています。いわゆる店頭、対面販売で元気なのはグローバル、成長株しかない。
B氏(投資信託会社経営者、以下B) 投信業界はホントにつまらない業界になっちゃいました。それでも個人のお金が入ってきているのは、米国株、特に巨大IT銘柄、グローバル成長株が絶好調だったからです。それだけでしょう。がんがんお金を集めているのはGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon.com、Microsoft)やらテスラやら、日本人でも知っている分かりやすい銘柄が入っている投信です。
その巨大IT・グローバル成長株路線にちょっと味付けをした、急拡大中のテーマがあります。これも業界の“どん詰まり”を示しているのかもしれません。