株投資 入門&実践#8Photo:PIXTA

いつ買うか、いつ売ればいいか。個人投資家にとって悩ましい問題だ。過去の価格変動パターンから、これからの値動きを予測しようというテクニカル分析に頼りたくなる。だが、テクニカル分析の売り買いサインには落とし穴がある。特集『株投資 入門&実践』(全18回)の#8では、そのことをデータで明らかにしていこう。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)

将来を予測するテクニカル分析
「グランビルの法則」からデータで検証

 テクニカル分析とは、過去の値動きを参考に、将来の値動きを予測する分析手法である。将来予測など不可能とする「ランダム・ウォーク理論」と真っ向から対立する。だが、価格の動きはマーケットにいる人々の心理や行動がぶつかり合って形作られる。人間心理に裏打ちされた、似たパターンが過去に幾度も形成されており、今後も繰り返し現れるとみるのはおかしくはない。

 株や為替のプロのトレーダーの中にも、結構、信奉者が少なくないという。手だれのプロでも売り買いのタイミングに大いに悩む。株投資の初心者が、テクニカル分析に頼りたくなるのも無理もない。本当に使えるものなのか。データで確かめてみよう。

 そのテクニカル分析は大きく二つに分類されることが多い。相場のトレンドを探る「トレンド(趨勢)系分析」と、買われ過ぎや売られ過ぎを探る「オシレーター(振り子)系分析」の二つだ。

 だが、中にはどちらも利用する分析手法がある。例えば、最も人気があるテクニカル分析、「移動平均線」を使った「グランビルの法則」を見てみよう。この手法は価格と移動平均の関係を見ながら将来を予測する。

 グランビルの法則は、具体的に四つの買いシグナル(上図赤丸〈1〉〈2〉〈3〉〈4〉)と売りシグナル(上図青丸〈1〉〈2〉〈3〉〈4〉)で構成されている。買いでも売りでも〈1〉はトレンド系の視点、〈2〉〈3〉もどちらかといえばトレンド系の視点だが、〈4〉はオシレーター系の視点といえる。

 このトレードポイントを実際の日経平均株価の動きと照らし合わせてみよう。