株投資 入門&実践#7Photo:PIXTA

菅義偉首相退陣表明を機に日経平均株価はするすると上昇、3万円台を回復し、岸田文雄新首相の就任後また元の水準に戻った。中でも9月頭の急騰劇には面食らった入門者も多い。こうした相場急変を引き起こした張本人がいる。特集『株投資 入門&実践』(全18回)の#7では、急変のメカニズムをデータで明らかにしよう。相場の動きを冷静に見るために、株投資のビギナーが押さえておきたいポイントである。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣)

日本の株式市場の7割を握る
メインプレーヤーは海外投資家

 日本の株式市場で最も影響力を持っているのは、海外投資家である。

 株投資ビギナーの皆さんも、このことはどこかで耳にしたことがあるに違いない。長らく同じような状況が続いている。

 東京証券取引所が公表する現物株の投資部門別株式売買状況(東証・名証の1・2部合計、売買代金)で確かめてみると、2021年8月末現在、海外投資家の委託取引に占める売買シェアは67%、その10年前は69%、20年前は52%であった。

 2000年以前は海外投資家がシェア筆頭でも、個人投資家や機関投資家などが盛んに売買していた様子が上の図から見て取れる。それが06年以降になると、海外投資家が圧倒的なシェアを確立。20年に入ってから個人投資家のシェアが約20%から25%に上がり、海外投資家は70%超から水準を落としているものの、相変わらず大きな開きがある。メインプレーヤーはもちろん海外投資家だ。

 では、海外投資家は日本株の動きにどんな影響を及ぼしているのか。

 21年9月の日本株急騰劇を、東証の投資部門別売買状況のデータなどと共に振り返ってみよう。8月20日には一時27000円を割り込んだ日経平均株価は3週間もしないうちに3万円の大台を回復。その後に年初来高値を更新して、31年ぶりの高値を記録する。

 菅義偉首相の退陣報道をきっかけとした、この株価上昇を演出したのも海外投資家である。投資部門別売買状況から、海外投資家のある取引が、相場の先導役を果たしていることが分かる。相場急変の犯人ともいうべきものだ。