創業家を除くと生え抜きでは初めての社長就任となった横山社長。今年1月から中間持ち株会社キリンの下に再編される中、ブランド力強化に挑む。

メルシャン社長 横山 清<br />ワイン市場は拡大の余地あり<br />3年でシェア20%を目指すPhoto Masato Kato

──2012年12月期は売上高697億円、営業利益21億円で減収増益となった。

 ここ数年間取り組んできたノンコア事業の切り離しの一環で、水産飼料や医薬、畜産飼料事業を売却したのが響いた。これまで総額300億円弱のノンコア事業を売却してきたが、今年1月でようやく“本業”であるワインを中心とした体制が整った。

 ワイン市場は07年から底堅い成長を遂げ、特に11年からは2桁近い伸びが続く。震災で家飲みの傾向が強まり、1000円前後の家庭用の商品が売れているほか、円高でリーズナブルな輸入ワインが入ってきた。ワイン事業だけでは売上高で前年度比7%、営業利益で43%のプラスとなった。

 だがまだ市場は酒類全体の3.5%しかなく、底上げ余地はある。

──どのように市場を拡大するか。

 ワインは日本ではいまだに堅苦しいイメージがあるが、海外では食事と一緒にコップで飲むようなカジュアルな酒。夏にロック、冬にホット、桜の季節にロゼの炭酸割りなど、季節に応じたさまざまな飲み方の提案を行う。またペットボトル、スクリューキャップの導入を進めるなど、容器面でも新機軸を打ち出す。

──シェアでは2位のサントリーと僅差である。

 現在の18%のシェアを、メルシャンブランドの強化によって高め、15年までに20%に伸ばしたい。低価格ワインを作っているイメージが強いが、自社でブドウ栽培から行う「シャトーメルシャン」は世界の品評会で金賞を取るほどのワインを作っている。輸入品にしても普及品の国産ワインにしても、そうした技術に裏付けされたものだ。藤沢工場ではフランスのボルドーで何年間も修業した人間が普及品を生産している。