《シリーズ23作目となる『大学図鑑!2022』監修者オバタカズユキさんから読者のみなさまへ》
『大学図鑑!』が初めて世に出たのは、1999年。
それから毎春、年刊本として発行され、この2022年度版で23冊目になります。
取材スタッフが直接足を運び、在学生から「生の声」を聞かせてもらう。
この本の大学案内ページは、そうした取材の集積結果です。
アンケートや各種資料も活用していますが、とにかくキャンパスを歩き倒し、そのレポートを書くことに注力してきました。
もちろん、同じ大学でも人によって見え方や感じ方はいろいろです。在校生の自校に対する意見も様々です。
でも、たくさんの「生の声」に耳を傾けていくと、そのキャンパス特有の空気のようなものが、おのずとわかってくるのです。
その「空気」を受験生や保護者の方々に、できる限りそのままお届けする――。
それが『大学図鑑!』の役割だと思っています。
ここ数年は、学部学科の再編だけでなく、入試のさらなる複雑化、グローバル時代への対応、「役に立つ」大学教育の追求などなど、高等教育が動いています。
それらが実際の大学生にどう影響しているか。
意識的に調べ、わかりやすく記述することに努めました。
2020年度はコロナ禍に見舞われ、大学のあり方も変貌しました。
キャンパスのほとんどが事実上「閉鎖」され、学生たちは通学することなく、オンライン授業を受ける毎日となりました。後期からは、実験や演習などの一部の授業が対面スタイルに戻るなどしましたが、まだキャンパスの人影はまばらです。
本書が紹介している大学の姿は、そうした非常事態に陥る以前のものであるとお考えください。
本書の上手な読み方・考え方
大学キャンパスで集めた「生の声」は、言葉を整えて、引用や羅列の形でも頻繁に紹介しています。
その妥当性は吟味していますが、いずれも学生個人の「主観的」な声です。
また、筆者による文章部分も、客観性を心がけているとはいえ、厳密には「主観的」な表現です。
本書は、それでよし、を制作スタンスとしています。
当然のことながら、どの大学にもポジとネガの両面があり、同じ面を見るにしてもそれをプラスに感じるかマイナスと受け取るかは人によります。
ただ、だから一概に言えない、と腰が引けてしまっては、何も言葉にできなくなります。
ですから本書は、誤解を恐れず、聞いたこと、見えたもの、感じたことを書き表そうとしています。きれいごとを並べてよしとする態度を好まないので、あえて「主観的」であることを肯定しています。
読者のみなさんには、その姿勢をご理解いただき、本書の内容を「これも数ある見方のひとつ」「参考にする話のひとつ」といった距離感で読んでもらえたら幸いです。
コロナ流行が落ちついたならば、受験生のみなさんは、ぜひ実際に大学キャンパスへ自分の目で確かめに出かけてください。そこが『大学図鑑!』に書いてあるようなところかどうか、現場で五感をフルに働かせてみましょう。
大学選びに公式はありませんが、入試前に見学しておくことは勉強以上に大事かもしれません。本書がその「ガイド役」となるならば嬉しい限りです。
2021年3月『大学図鑑!』監修・オバタカズユキ
◎巻頭特集◎
・大学入試共通テスト後の入試はどうなる? 入試方法トラの巻
・絶対ハズせない! 大学選び8つのポイント
・とはいえ難易度はムシできない! 偏差値ランキング
・関東私大Aグループ:早稲田、慶應義塾、上智、国際基督教、東京理科
・関東私大Bグループ:明治、立教、青山学院、中央、学習院、法政
・関東私大Cグループ:成蹊、成城、明治学院、獨協、國學院、武蔵、芝浦工業、東京農業、北里
・関東私大Dグループ:日本、東洋、駒澤、専修、神奈川、玉川、文教
・関東私大Eグループ:大東文化、東海、亜細亜、帝京、国士舘、拓殖、東京経済、和光、立正、関東学院、桜美林
・関東女子大グループ:お茶の水女子、津田塾、東京女子、日本女子、白百合女子、聖心女子、フェリス女学院、大妻女子、共立女子、実践女子
・関西私大グループ:同志社、関西学院、立命館、立命館アジア太平洋、関西、甲南、龍谷、京都産業、近畿
・国公立大学グループ(東日本):東京、一橋、東京外国語、東京工業、電気通信、東京農工、東京海洋、北海道、東北、国際教養、筑波、信州、東京学芸、千葉、埼玉、東京都立、横浜国立、横浜市立
・国公立大学グループ(西日本):京都、名古屋、大阪、神戸、広島、九州、大阪府立、大阪市立