創刊23年目のロングセラー『大学図鑑!』で紹介している「絶対ハズせない!大学選び8つのポイント」から一部をご紹介。今回は、志望大学を選ぶうえで一つのポイントとなるキャンパスについてだ。都会型か郊外型かで、通学や遊び場・バイト先が変わってくる。また、学部や学年でキャンパスが分かれているか否かで、学内の雰囲気も大きく異なる。大学選びの一つの要素として、キャンパスのあり方を考えてみよう。

志望大学を選ぶとき見落としがちな「キャンパスの条件」とは?Photo: Adobe Stock

魅力的なキャンパスは都会型と郊外型のどっち?

大学キャンパスの立地は、大きく都会型と郊外型に分かれる。最近は、寮生活を前提とした僻地型も登場しているが、そうした大学を選ぶ受験生は思い切りがよくて情報収集もしっかりしているだろう。

もっと一般的な受験生が都会型か郊外型かで迷う場合、そのメリットとデメリットを右表で確認しておこう。

都会型の利点は、社会との接点がライブで多いことだ。いくらネット社会になっても、直接様々な人や場所と関わることの重要性は変わらない。

郊外型の利点は、そうした都会型生活は疲れそうだというタイプが、落ちついてキャンパスライフを送れる点だと言えるだろう。

でも、このところ郊外型キャンパスを廃止・縮小して、都会型キャンパスを拡充する大学の「移住」が増えている。なんだかんだ言って、刺激に満ちた都会のほうに魅力を感じる若者が多いからである。

ポイント
ネット社会だからこそライブに強い都会が人気

学部割れと学年割れをどう考えるか?

『大学図鑑!』では23年前の創刊当初から「学部割れ」「学年割れ」という造語を使っている。学部や学年でキャンパスが分かれていることを指し、これには同じスタンスを貫いている。

基本的に、学部割れも学年割れもしていない、全学部全学年が同じキャンパスに集結している大学を推しているのだ。なぜなら、年齢や興味の矛先が異なる様々な人から学べることこそが、大学という開かれた知的空間の最大の魅力だと考えるから。

たとえば、新入生のうちからリクルートスーツを着た就職活動生を目の当たりにして感じるものがあれば、それだけで自分の将来を考える貴重なきっかけだ。遊んでばかりの文系学部生と実験に明け暮れる理系学部生とが、互いの思いを知りえたなら、それは自分の世界の大きな広がりだ。

でも、学部も学年も割れていない大学は非常に少ないし、あったとしても規模が小さくて在学生のタイプが似通っていたりする。なかなか理想的な1キャンパス型の大学は見つけにくい。

そこで、この問題については、より現実的に考えたほうがいい。学部や学年の割れ方がなるべく少ない大学がいいね、という観点から、志望大学を比較してみたらどうかと思うのだ。

また、学部や学年が割れていても、キャンパス間の距離が近く、交流が活発ならばそのマイナス点は少ない。逆に、キャンパス間が大きく離れていると、同じ大学でも所属学部によって別大学のような感覚でいる学生が多い。この「感覚」については、本書の各大学紹介ページで可能な限り伝えてあるから、よく読んでもらいたい。

郊外型から都会型キャンパスへ「移住」する大学の増加で、学部割れや学年割れのデメリットは減少方向にある。様々な人々が顔を合わせることによって生まれる価値を見直す大学が、ようやく増えてきたのだ。

ポイント
学年も学部も割れていないほうがいい