LADY(Leadership and Action for Determined Youth)プログラムの一環として、ハーバード大学で、英語による「3分間スピーチ」を行う日本大学豊山女子の高2生。女性の社会進出、女性やLGBTなどに関するプレゼンに、ハーバードの学生が寄せるコメントの1つ1つが生徒の自信につながっていく 写真提供:日本大学豊山女子

ボリュームゾーンである中堅校の勢い

 これまでいろいろな切り口で、2020年入試の予想実倍率に関する記事をお届けしてきた。

 予想実倍率は、4つの模擬試験の志願者動向を反映して算出している。志願者数の多い学校・入試については「首都圏人気19校」を、年々増加している「1科入試」、女子を中心に人気のある「グローバル対応」の学校、人気の「男子併願校」についてはそれぞれの記事をご覧いただきたい。

 中学受験では、難関国立大に多くの合格者を出すような超難関校に関心は向きがちだが、そうした学校に入る生徒は全体のごく一部にすぎない。多くの生徒は中堅校に進学先を見いだすことになる。私立校の学校文化というものは、それぞれに個性的である。偏差値だけではなく、その学校との相性を踏まえて志望校や併願校を選ぶことが後悔しない中学受験の秘訣(ひけつ)でもある。

 そこで今回は、「勢いのある中堅校」の予想実倍率について考えてみたい。

 まず、個性的な入試である。公立中高一貫校の人気に合わせて、「適性検査型」を取り入れる動きはすっかり定着しているが、新しい学習指導要領にあるような新しい学力のあり方を問うユニークな入試も増えてきている。

 この点でまず取り上げたいのが大妻嵐山である。日本最大級の女子の学園である大妻の埼玉にある付属校で、語学と科学の素養を持った生徒の育成を掲げ、「みらい力表現型」と冠してプログラミング入試を行っている。

 千代田区にある大妻は進学志向の強さに加えて、起業家教育のツアーを企画するなど、積極的な女子の育成に強みを発揮している。

 こうした姿勢は、三輪田学園、京華女子、和洋九段女子、女子美、中村、玉川聖学院、神奈川学園、共立女子第二でもうかがえる。女子生徒の共学校志向の高まりもあって、女子校は超難関校と中堅校との二極化が極端に進んでおり、中堅校の生き残りのためには不可欠の取り組みなのだろう。総じて倍率もマイルドで、受けやすく受かりやすい。

 寮のある学校も人気がある。札幌の男子校、北嶺は医学部実績で定評がある。地元だけでなく、東京や大阪などでも入試を行っており、2020年は松の内が明けて早々に設定されている。首都圏では、医進・特進コースもある全寮制(4泊5日)共学校の秀明もユニークだ。

 新しい市場を開拓しているという点では、2019年から中学を併設した細田学園がある。東京メトロ線への乗り入れで不動産人気が高まっている東武東上線沿線には、これまでは慶應義塾や立教の男子付属校くらいしかなかっただけに、医者の子弟などの注目が高まっている。
 
 次ページの表には、勢いのある中堅25校の予想実倍率を掲載した。中には上位校と呼んだ方がいい学校も含まれているが、9月の模試で志願者の多い入試を優先してある。