
2010.8.7
納付率が低下するとなぜか収支が改善する!?偽装だらけの国民年金の正体
2009年度における国民年金保険料の納付率は、ついに6割を割り込んで50%台に突入した。国民年金は、風前の灯であるように思われる。しかし、まことに不思議なことに、国民年金の収支状況は納付率が低下するほど改善すると思われるのである。
一橋大学名誉教授
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『1940年体制―さらば戦時経済』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』『仮想通貨革命』『ブロックチェーン革命』など。近著に『中国が世界を攪乱する』『経験なき経済危機』『書くことについて』『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』『「超」英語独学法』などがある。野口悠紀雄ホームページ
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2010.8.7
2009年度における国民年金保険料の納付率は、ついに6割を割り込んで50%台に突入した。国民年金は、風前の灯であるように思われる。しかし、まことに不思議なことに、国民年金の収支状況は納付率が低下するほど改善すると思われるのである。
2010.7.31
未納者・未加入者数は、03年度(平成15年度)の490万人がピークで、それ以降は減少している。しかし、納付率は改善していない。「本来保険料を支払うべき人の6割程度しか支払っていない」という異常な事態が生じる原因は、どこにあるのだろうか?
2010.7.24
国民年金の保険料未納の尻ぬぐいは、被用者年金が過大な負担を負うことにより行なわれていると述べてきた。09年の制度改正で、国庫負担率は2分の1に引き上げられたが、これは被用者年金では補えない分の未納対策だったのではないか。
2010.7.10
「納付率が6割程度でしかないのに国民年金が破綻しない」理由は、「すべての年金制度で費用を負担する仕組みになっている」からとされている。しかし真の問題は、負担が不公平に配分されているのではないかということだ。
2010.7.3
国民年金保険料の納付率は、信じられないようなレベルまで低下している。2010年3月末での納付率は、59.4%だった。半分近くの人が保険料を支払わない状態で、国民年金制度が維持できるのは、いったいなぜなのだろうか?
2010.6.26
公的年金の役割は「長生きしすぎることへの保険」だと述べたが、そう考えれば「なぜ効率の悪い公的年金が必要なのか」という疑問が生まれる。しかし、実際の改革にはその考えが反映されていないと言わざるを得ない。
2010.6.19
人口が減少する社会では、国庫負担があったとしても、賦課方式年金は個人年金に収益率の点で追いつかないことを述べた。では、人口減少社会では公的年金の役割はないのだろうか?
2010.6.12
日本の人口が減少しているなかで、財政検証で想定されている保険料率や国庫負担率では、所得代替率が50%の年金を長期にわたって継続することはできない。では、これを維持するために、国庫負担率と保険料率をどう設定すべきか。
2010.6.5
厚生年金は、今後30年の間に、保険料納付者が8割に減り、他方で受給者が2割以上増えるという事態に陥る。しかし、日本の年金制度は適切に対処しているとは考えられない。それは財政検証にいくつかのカラクリがあるからだ。
2010.5.29
これまで厚生年金収支のシミュレーション計算を行い、2030年頃までには財政破綻するとの結論を導いた。しかし、これは賃金上昇率1%と物価上昇率2.5%と仮定したものだ。では、これらを0%にした場合、どうなるのだろうか。
2010.5.22
厚生年金は深刻な財政問題を抱えている。現在の制度を継続して何の対策も講じなければ、20年以内に積立金が枯渇し、年金給付ができない状態に陥る可能性が高い。では、厚生年金制度を清算し、新しい制度をつくることは可能だろうか?
2010.5.15
これまで、現行制度を継続すれば年金財政が破たんすることを述べてきた。それは「現役世代の給与に対して年金給付が高すぎる」とも言える。では、賃金が下落する場合に財政検証通りの給付を続ければ、所得代替率はどのような水準になるのか。
2010.5.8
これまで連載で述べてきたように、「100年安心年金」の経済想定は、現実と比べてあまりに楽観的で非現実的な仮定を置いている。実際はどれほど危機的状況なのか、今回は本格的なシミュレーションを行なってみることとしよう。
2010.4.28
厚生年金の試算にあたり、厚生労働省の財政検証は「賃金が毎年2.5%上昇する」と想定している。しかしこれは非常に現実離れした想定だ。そこで、賃金は毎年0.5%低下すると仮定すると、厚生年金制度は16年後に破綻することがわかる。
2010.4.17
厚生年金の将来の財政状況は、「財政検証」として今後100年間は積立金はなくならないと推計されている。しかしこれは、経済的な前提条件に強く依存しているため、経済状況の悪化によっては年金財政が破綻する可能性が大いにありうる。
2010.4.10
「企業の利益が増えないので、給与を圧縮せざるをえない」ということが言われる。しかし実際には、利益の動向と給与の動向は逆方向に動いていることが多い。したがって「デフレ・スパイラル論」は、実際のデータに否定される。
2010.4.3
経済危機によって年金制度は大きな打撃を受けた。ところが、年金は長期的な制度なので問題が存在していても、すぐには顕在化せず、対応は遅れがちになる。しかも、対応が遅れるほど問題が進行するので解決は難しい。
2010.3.27
中国で不動産バブルが生じている。しかし、1980年代の日本で不動産バブルが崩壊したように、中国も早晩そうした事態に直面するだろう。では、これを適切にコントロールすることができるだろうか。
2010.3.20
「円高はデフレを加速するので問題だ」と言われることがある。はたして、そうだろうか?原理的にはありうるが、事態はそれほど単純ではない。消費者物価は、為替レート以外の様々要因に影響されるからである。
2010.3.13
政府は公共事業を次々に廃止し、景気対策として定額給付金などの移転支出を増加させている。しかし実際は、公共事業が有効需要を増大させていたのに対し、移転支出を増やしても有効需要が増えるとは限らない。
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