
ジョセフ・E・スティグリッツ
#6
コロナ禍に揺れた2020年を経て、21年の世界経済はどのような針路をたどるのか。ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授が、その回復を占う主な要因を分析した特別寄稿をお届けする。

第2回
ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授は、トランプ米大統領の発言や行動は邪悪で暴力的な力を解き放っており、その力はすでに制御不能になり始めていると警鐘を鳴らす。

第18回
欧州とアメリカに必要なのは緊縮政策ではなく、さらなる景気刺激策である。財政赤字の要因は、経済成長の弱さによる税収の伸び悩みである。

第17回
金融市場と右派経済学者は問題を完全に逆にとらえている。緊縮政策は成長を損なう。信頼回復どころか負の連鎖が始まる。

第16回
国際通貨基金(IMF)は、予想より早く新しい専務理事を迎えることになりそうだ。私は10年以上前からIMFのガバナンスの欠陥を批判してきたが、それはIMFのリーダーの選び方にも象徴されている。

第15回
福島原発でいまなお続く危機は、グレートリセッションを引き起こしたアメリカの金融崩壊を見つめていた人びとに、不気味な類似点を感じさせる。どちらの出来事も、市場や社会のリスク管理のまずさについて厳しい教訓を与えてくれる。

第14回
天然資源が乏しい国だからこそ、モーリシャスは人的資源が唯一の財産と認識し、国民皆教育を実現。社会的団結と民主化を進めていった。

第13回
民主主義は道徳にかなったものではあるが――そしてチュニジアが示しているように、独裁よりはるかに望ましいものではあるが――われわれは民主主義の看板を掲げている人びとの失敗を忘れてはならない。腐敗を防ぐのが難しく、現にアメリカでは格差を助長している。

第12回
アメリカの金融部門は政府に全額返済を保証するよう迫るだろう。それが莫大な社会的ムダや失業者を生み出すとしても。

第11回
グレートリセッションの余波の中で、諸国は平時としては未曾有の財政赤字を抱え、増大する国家債務について不安を募らせている。そのため多くの国が新たな緊縮財政政策を採用しようとしているが、そのような政策はほぼ間違いなく当該国の経済と世界経済を弱体化させるだろう。

第10回
破産法が改正されて、借り手への負担が増加。労働時間の4分の1を銀行のために働かされ、それでも、借金は減るどころか逆に増えていくのが現実だ。

第9回
FRBの量的緩和はドル安をもたらし、アメリカ企業の競争力を高める一方、新興市場の通貨高と資産バブル、インフレを引き起こした。

第8回
かつての証券化モデルはまったく機能していない。だが、オバマ政権もFRBも真剣に現実を見据えていない。

第7回
豪州の労働党政権の景気刺激策は成功した。同国の景気後退は先進国の中で最も短く、最も軽かった。にもかかわらず、国民の関心が財政赤字批判に向かったことは皮肉である。彼らがささいな欠陥に惑わされないことを、彼らのために、同じ問題を抱える世界のために期待したい。

第6回
ヨーロッパ諸国とアメリカの一部では、財政引き締めを求める声が増大している。その声が聞き入れられたら、景気後退に逆戻りする恐れさえある。

第5回
金融規制改革が実現することは祝うべきことだ。しかし、中央銀行、財務省は自らの失敗を認めていない。

第4回
ギリシャの財政危機によってユーロはその存続自体が危うくなっている。提案されている解決策の一つは、為替レートの低下と同等の措置、すなわち賃金の一律引き下げを実施するというものだが、それは実現不可能だ。解決策は他にある。

第3回
中国の対世界での貿易黒字は経済問題であり、多くの国がこの問題を憂慮している。だからこそ、アメリカは中国に圧力をかけるのではなく、多国間でのルールに基づく解決策を模索するべきだ。貿易戦争に勝者はいない。

第2回
緊縮財政を唱える声が高まっている。もとより財政赤字を無条件でよしとする考えには注意が必要だが、財政赤字の削減はもっと後で考えるべき問題だ。経費を賄って余りある高いリターンを生む公共投資は未来の世代の幸福を高めることができる。

第1回
景気後退脱出には第2次景気刺激策、住宅差し押さえの大波を食い止めること、銀行を制御するためのアメリカの金融システム改革が必要だ。
