山口 博
労基法違反で社名公表された企業は471社、労基署臨検後違反が発覚した事業場は69%に上るというトンデモな事態が起きている。社員を労働搾取するばかりか、支払いを遅らせたりして取引先を使い捨てする事例も目に余るなど、モラルの低い企業が多すぎる。

日産自動車、SUBARU(スバル)、神戸製鋼、東洋ゴム…組織ぐるみの不正行為や不正隠しが絶えない。不正行為が起きやすいか起きにくいかは、法令順守の取り組みだけによるものではなく、実は社員のモチベーションの高さによるところが大きい。

日馬富士の貴ノ岩に対する暴行傷害事件での、日本相撲協会の対応が不可解だ。人事マネジメントの観点からは、トンデモな対応をしていると言わざるを得ない。

モデル就業規則の変更で、副業容認の議論が加速しそうだ。「転職リスクを増大させるので、副業容認により転職予備軍の寝た子を起こしてはならない」という定説があるが、実は、副業容認は逆に転職リスクを低下させる。

「派遣社員の選考や面接をしてはならないが、会社見学と表現するならば、1回は実施してもよい」…派遣社員就業には掟があり、掟破りの手口も横行している。しかしこの掟も掟破りも、そもそもトンデモな理由から生まれている。

強引なビジネスマンが多く、超肉食系という印象のある中国人ビジネスパーソン。しかし、筆者が中国で実施した人材開発プログラムの経験によると、意外にも草食度が高い。

商談をしていると突然、相手の中国人経営者がスマートフォンをいじりだした。なんと失礼なことか思ったが、実は、その行動には実にポジティブな意味があった。

「時間だぞー」「早く帰れよー」…勤務時間の終わりが近づくと、オフィスのあちこちで聞こえてくる上司の声だ。しかし、この掛け声、百害あって一利なしの、かけてはならない禁句なのだ。

小田急線沿いの火事現場近くに走行中の電車が突入し、電車の屋根が燃えるという事故が起きた。消防士も警察署員も運転士もマニュアルどおりのアクションをしたにもかかわらず、なぜこのような本末転倒な事態に陥ってしまったのか。そこには管制不在という深刻な問題がある。

国民生活に関する世論調査の結果が発表された。現在の生活に対する満足度は、調査開始以来最高の水準だ。20代の満足度は全年齢区分中、最も高く、レジャーや余暇に満足し、仕事に打ち込まず、自己啓発に時間を使わないという結果が浮き彫りになった。この結果は望ましいものだろうか。私にはそうは思えない。

働き方改革に着手する企業が増えている。しかし、「人」に起因するストレスは増大していると思えてならない。その原因は、マネジメントの目的が、パフォーマンス向上ではなく、上司の言うことに従わせることに変質してしまっているからではないか。その問題を解消する方法がある。

トヨタ自動車が裁量労働の範囲を拡大した。同社での演習経験をふまえると、社員の自律裁量というモチベーションファクター(意欲が上がりやすい要素)に対応した打ち手であると、私には思える。働き方改革は、モチベーションファクターをテコにした実行にかかっている。

富山市の機械メーカー、不二越の本間博夫会長の「富山から採用しない」発言が袋叩きにあっている。県知事が労働行政を、弁護士が労働法を振りかざして、本間氏を包囲している。しかし、私には、「王様は裸だ」という事実を叫んだ人を包囲しているように思えてならない。しかも、この構図がトンデモ人事の状況に酷似している。

組織の掟というものがある。多くの場合、組織の掟は、無意識のうちに身に付いていて、知らず知らずのうちに実行しているものだ。しかし、その掟が明らかに常識から外れていたら、トンデモない事態が生む。無意識のうちに身に付いてしまっていて、本人がその常識外れに気づかない分、事態は深刻だ。

教師による生徒への暴力、議員による秘書への暴言…不適切どころか、傷害事件と目されるトンデモ事態が後を絶たない。そこには、学生だろうが秘書だろうが、相手を人として尊重する意識が全く欠落していると言わざるを得ない。

メルマガ発信でサイバーテロ犯認定!セキュリティ規則盲従の落とし穴ウィルス感染などサイバーテロの脅威が高まる中、各社はこぞって対応マニュアル作りを行っている。しかし、マニュアルが一人歩きして、本人に確認すれば済むことを、数部門のリレーをしてしまうという事態に直面した。私自身がサイバーテロ犯と目されてしまったのだ。

東京都庁20時を筆頭に、オフィスの照明を一斉消灯する取り組みが、まるでブームのように広がっている。しかしこれは、枠組みマネジメントの典型で、取り返しのつかないトンデモ状態を生み出してしまうのだ。

組織開発・人材育成に関する全国意識調査を行ったところ、わが国企業の人事部が期待されていないどころか、適切でないとまで思われているトンデモな状況が浮かび上がってきた。働き方改革の担い手になることはおろか、人事部の存在そのものの是非が議論されるレベルと言わざるを得ない。

プレミアムフライデーで、金曜日の15時以降に、社内イベントを企画し社員を参加させる取り組みに、私は耳を疑った。30年変わらぬその発想に、社員の消費行動を阻害するだけではない、社員の自律性を損ない続けてきたトンデモ人事部の元凶を見た。

働き方改革実行計画は、自社における展開を実現してこそ意味を持つ。しかし、わが国企業には、計画の実行を阻む断層がある。その断層を解消しない限り、働き方改革の実現も、自社の戦略の実現もかなわない。
