林 公代
募集時にJAXAが「学歴不問」と発表して話題になった、宇宙飛行士候補者選抜試験の結果が2月末に発表された。4000人超の応募者から選ばれたのは、東京大学卒の2人だった。このため、SNS上では「結局学歴か」という声も上がった。だが、安易にそう決めつけると本質を見誤る。今回の試験内容をひもとくと、JAXAが求める人物像の変化が見えてくる。そして、惜しくも不合格だった応募者の声に耳を傾けると、選抜試験の「真の課題」が明らかに。世間にはあまり知られていない、意外な改善点とは――。

JAXAが2021年度の宇宙飛行士選抜試験において、応募条件を「学歴不問」としたことが昨年来の話題となっている。条件の緩和が奏功し、試験の応募者数は過去最多の約4000人を突破。芸能人がSNS上で応募を報告するケースも見られた。だが、試験の具体的内容や、通過後の厳しい訓練の詳細を知る読者は少ないだろう。そこで今回は、JAXAが応募条件を緩和した理由と併せて、選抜試験の知られざる実態を解説する。
