
栂野裕貴
原油価格下落でも「OPECプラス」が増産に転じている。トランプ関税による世界経済減速、原油需要の一段の低下が予想される中で、石油収入の減少を生産拡大で補う思惑やシェア拡大で市場への影響力を回復するなどの狙いからだ。だが、「逆オイルショック」で国際金融市場や中東の政情が不安定化するリスクに注意が必要だ。

トランプ政権はエネルギー・環境政策を転換、化石燃料増産にかじを切ったが、操業コスト上昇などから増産は小幅にとどまる一方でガソリン車志向や備蓄確保で原油需給はタイト化する見通しだ。米国内要因だけでも原油価格は3~15ドル/バレル上昇する可能性がある。

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米国の環境・エネルギー政策は、ハリス政権となれば気候変動対策が加速しクリーンエネルギーやEV導入が進むが、「トランプ再選」となればパリ協定再離脱やインフレ抑制法修正などで真逆の転換になる。化石燃料の増産は進むがガソリン車の需要増加などで原油価格はむしろ上昇する見通しだ。
