原油価格はトランプ政策で最大「15ドル」上昇⁉︎化石燃料重視“掘りまくれ”宣言の副作用Photo:Joe Raedle/gettyimages

トランプ政権、化石燃料重視へ転換
電気自動車「50%以上」の目標は撤回

 1月20日に発足したトランプ第2次政権は、国際的な気候変動対策よりも米国内の化石燃料開発を優先するなど、環境・エネルギー政策をバイデン前政権時から大きく転換した。

 トランプ大統領は、就任初日にパリ協定から再び離脱する大統領令に署名したほか、「国家エネルギー緊急事態」を宣言し、原油・天然ガスなどの探査、資源開発に必要な土地のリース、エネルギーの生産および輸送を促進することを打ち出した。

 加えて、バイデン前政権時に定められた「新車販売全体に占める電気自動車(EV)のシェアを、2030年までに50%以上にする」という目標を撤回し、ガソリン車の販売を制約し得る環境規制の緩和や、インフレ抑制法等に基づくEVへの補助金の廃止なども表明した。

 原油を「掘って掘って、掘りまくれ」と、大統領選で掲げた化石燃料重視の公約実現に就任早々から突き進んでいる。

 だが現状では、米国の原油生産量の増産は26年でも日量10万バレル増と、小幅にとどまる見通しだ。操業コストの上昇や政権交代になれば再び政策転換があり得るとして大手企業は増産に慎重姿勢だからだ。一方でガソリン車へのシフトでガソリン消費などが増えて、需要が供給増を上回る見通しだ。

 その結果、米国内の要因だけでも1バレル当たりの原油価格は26年にかけて3ドルから最大15ドル上昇すると試算される。

 影響は米国にとどまらず日本など世界経済への波及が懸念される。