日銀は、10月5日の政策決定会合で提案した「量的緩和」を、1ヵ月後の去る11月5日に正式に決定した。
国債、コマーシャル・ペーパー(CP)、社債、指数連動型上場投信(ETF)、不動産投信(J-REIT)などの金融資産の買い入れと、低利資金を金融機関に供給する「固定金利オペ」のために基金の設立し、その基金の規模は、資産買い入れの5兆円と「固定金利オペ」の30兆円を合わせ35兆円である。
2008年9月のリーマンショック以降、先進各国では「量的緩和」がとられてきたので、日本もようやくその一員になった。
白川方明日銀総裁は、日銀事務方の時から、量的緩和の効果はないと言い続けてきた。国会でも、そう答弁し続けてきた。このような意見の変節は学者にとっては致命的であるが、政治家や行政マンにとっては別にたいした問題ではない。
量的緩和で物価上昇率を
回復させたスウェーデン国立銀行
マネーと物価の関係は、貨幣数量理論として知られているのであるから、それを堂々と言えばいい。例えば、スウェーデン国立銀行。この中央銀行はノーベル経済学賞でよく知られている。
正式名は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」といい、授賞式などは他のノーベル賞と同じように行なわれているが、ノーベルが遺贈したものではなく、スウェーデン国立銀行が設立した賞なのだ。世界最初の中央銀行として知られ、1931年にスウェーデンを襲った危機に対して、インフレ目標を導入し、大恐慌からいち早く抜け出たことで有名だ。
スウェーデン国立銀行は、消費者物価指数で年率2%プラスマイナス1%のインフレ目標をとっていた。ホームページには、温度計でインフレ率が示されており、1%以下は「寒い」青色ゾーン、3%以上は「暑い」赤色ゾーンになっている。スウェーデンの消費者物価指数は、リーマンショック以降急速に低下し青色ゾーンになり、09年4月から11月までの間に、マイナスに陥ってしまった。