公立小学校の偏差値とそこに通う子どもの親の経済力との間には、強い相関関係がある。実は、住宅選びの際にもこの「学区別世帯年収」は参考になる指標だ

 毎年2月1日の登校生徒はクラスで2~3人。これは、ある有名な公立小学6年生のクラスの光景である。2月1日は第一志望の私立中学校の受験日が多い。受験生はこの日、小学校には登校しない。そのため「登校生徒数が少ないことがその小学校の学力レベルを表す」と言われたりする。

 その生徒の学力に最も影響している要因は、親の経済力だったりする。教育にかける資金と時間が、子どもの偏差値を押し上げるからだ。学校のランクと学区別の世帯年収との間には、強い相関関係がある。

 実は、住宅選びの際にもこの「学区年収」は参考になる指標の1つである。今回は、住宅選びの判断材料の1つとして、これまであまり触れられることがなかった学区年収を開示し、その見方を紹介するので、役立ててほしいと思う。

 学区年収という指標を活用することには賛否があるかもしれないが、そもそも住宅選びは多面的な評価をしないと決められないものである。こうしたデータ活用には、「住宅探しに役立てる」という目的以外の意図は介在しないことを、予めお断りしておく。

戸建の売れ行きにも影響?
住宅選びは「公立学校選び」である

 20年ほど前のことであるが、筆者は茨城県つくば市に関する調査業務を受けた。それは戸建てニーズが強い場所を特定する目的の調査だった。つくば市は元来一次産業中心のエリアに、学術・研究都市として計画造成された市街地が生まれ、産・学・官の研究者が日本で最も集積しているという背景がある。地元の不動産業者にヒアリングすると、学区によって戸建て住宅の売れ行きは異なるという。

 図書館に行くと、当時は公立学校の平均偏差値が掲載された資料を発見することができた。平均偏差値が60を超える公立学校もあれば、40程度の学校もあった。偏差値60の学校は上位16%に相当し、偏差値40は下位16%に相当するのだから、かなりの差がある。

 隣接する公立校でありながら、生徒全員の平均でこれほどの差が生まれるという光景を、筆者は見たことがなかった。偏差値がここまで違うと、中学以降での進学校の合格者数も大きく違ってくる。進学校に合格するのが当たり前だと思われている小学校では、そもそもの教育環境が他校と異なっている。