徹底的に「相手目線」で考える
前田 ありがとうございます。プレゼンのイントロで相手の感情を動かすアプローチはいろいろあるのですが、私は「数字×質問×ビジュアル」だと考えています。
たとえば、このスライドをご覧ください。
これは家事代行サービスを、主な当事者である主婦向けにPRするプレゼン資料のイントロです。
最初に「2」という数字だけを見せて、「これ、何の数字だと思いますか?」と問いかける。
質問をされると誰もが考え始めます。
それによって、「自分ゴト」にしてもらいやすくなるわけです。
そのうえで、2枚目のスライドで「生涯洗濯時間2年」と種明かしします。
そして、3枚目のビジュアルを見せながら、「洗濯ってツライですよね?そのツライ洗濯に2年間。長いですよね?」などと語りかけると、多くの主婦の方は「そうそう……」と共感してくれます。
神田 この“主婦目線”のビジュアルは効果的ですよね。この写真で、自然と洗濯物を干しているときの感情が湧き上がってきます。
前田 はい。重要なのは、伝える相手によってビジュアルを変えることなのです。
たとえば、家事代行サービスを主婦向けではなく、普段はあまり家事をしない人を相手にする場合には、次のようなスライドを用意します。
神田 なるほど。奥さんが洗濯物を畳んでいる姿を、見つめている旦那さんの目線のビジュアルを使うわけですね?
前田 そうなんです。これを見たら、きっと「毎日大変だよな。負担をかけているなあ……」といった感情をもってくれるはずです。
その感情をもってくれれば、「なるほど、家事代行サービスで妻の負担を減らすことができる」とプレゼンに共感してもらえる可能性が高まるわけです。
神田 相手の目線で考える。これは、何かを「伝える」うえで非常に重要なポイントですよね。
前田 おっしゃるとおりです。社内プレゼンで上司や経営者を説得するときも、社外プレゼンでお客様にお伝えするときも、どれだけ“相手目線”に立って考えられるかが決定的に重要だと思っています。この点は非常に重要なので、11月2日の「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座」でもじっくりとお伝えしたいと考えています。
これは、神田さんの書籍で学んできたことです。『稼ぐ言葉の法則』では「稼ぐ言葉を掘り当てる『5つの質問』」でまとめておられますが、“お客様目線”を徹底して掘り下げる質問ですね。